個人の信用力が、信用スコアによって数値化される時代になりつつあります。
到来するのは、個人の信用力が数字で表現される世界です。
これはまるでSF小説やアニメのようです。
このような時代の変化に対して、不安や怖さを感じる人もいると思います。
自分のプライバシーを守りたいと、心理的な抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし、信用スコアには様々なメリットがあります。
もちろんメリットだけでなくデメリットもありますが、この記事ではメリットの方を解説したいと思います。
このページの目次
信用スコアが高いとどんなメリットがあるのか?
信用スコアは単なる数値です。
なので信用スコアの数字が高いだけでは、そこまで意味やメリットはありません。
数字だけだと他人と比較して、違いに一喜一憂したりマウンティングなど、自慢するくらいにしか使えません。
高い信用スコアは、信用スコアと連携しているサービスを使うことによってはじめてメリットが生じます。
では、信用スコアと連携しているサービスを使うことによってどのようなメリットがあるのか解説します。
得た評価を連携しているサービスにも引き継げる
WEBサービスの中にはレビューの仕組みが導入されているものがあります。
このようなサービスでは、レビューでの評価が高い方が間違いなく有利です。
とくに面識の無い個人対個人(CtoC)の取引や交渉があるサービスを使うときは、これが顕著です。
代表的なCtoCサービスは
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シェアリングエコノミー
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SNS
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マッチングアプリ
などのジャンルです。
もし高い信用スコアを持っているのであれば、連携しているこれらのサービスにおいて
高い信用スコアを持つ=高い評価を得ているので信頼できる
という評価を最初から得ることができます。
ただし、信用スコアと連携するかどうかは各サービスに任されています。
そして、少なくとも日本においては特定の信用スコアと連携しているサービスは2019年8月現在はゼロです。
※連携というかクーポン発行などをしているサービスはあります
おそらく2019年中盤から後半にかけて、続々と信用スコアとの提携に関するニュースが流れるはずです。
信用スコアが高いとモテる?
アメリカには、FICOスコアと呼ばれる信用力を表すスコアサービスがあります[1]FICOスコアは一般的に「クレジットスコア」とも呼ばれます。。
FICOスコアは生活のあらゆる面で使われますが、男女の出会いの場でも相手を信用できるかどうかにも使われています。
これは、日本で最も人気のあるマッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営している株式会社エウレカの親会社である、アメリカの
「マッチグループ」
が発表しています[2]https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-24/OV5ITXSYF01S01。
マッチグループの調査によると、
全体の58%は、信用スコアの高さはいい車に乗っているかどうかよりも大切だと答えた。
とあります。
つまり、昔のように高級車や高級時計を所有しているだけではモテない、ということです。
信用スコアが低ければ、高い時計や高級車も意味がなくなってしまいます。
信用スコアが低いのに、高級車や時計を持っていたら逆に怪しまれるかもしれません。
アメリカの信用スコアはおもに金銭面での信用力を判断しています。
金銭面に加え、もし性格と金銭面両方の信用力を分析するスコアが普及すれば、そのスコアは恋愛や結婚などを大きく左右することになりそうです。
じっさい、中国の人気信用スコアサービス
「芝麻信用」
は中国人の結婚事情に大きな影響を与えていると言われています。
https://pecu-nia.com/zhima-xinyong-merit/
出会い系サイトやマッチングアプリでも信用スコアが導入されるかも?
紹介した芝麻信用は、中国の人気マッチングアプリ「百合網」で信用スコアがプロフィールに表示できたり、婚活アプリの入会審査に使われたりしています。
たしかに出会い系サイトやマッチングアプリは見知らぬ男女が出会うサービスです。
利用している人が真面目な人か、それとも詐欺師かは会ってみないとわかりません。
もしかしたら会っても判断ができないかもしれません。
よって、それなりの危険性を内包しています。
なので、信用スコアを導入することによって安全性が高まるかもしれません。
これは、特に女性にとってありがたい仕組みです。
https://pecu-nia.com/matchingapp-credit-score/
信用スコアが高いと良い条件でローンやキャッシングを利用できる
信用スコアが高いと様々なメリットがありますが、金融系のサービスではメリットがとてもわかりやすいです。
というのも、数字が顕著に変化(上がる)するからです。
例えば
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通常よりも低い金利でローンやキャッシングを利用できる
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ローンやキャッシングの契約限度額が上がる
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住宅や自動車のローンを低金利で組むことができる
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クレジットカードの限度額が上がる
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ランクが高いクレジットカードを発行してもらえる
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消費者金融の融資審査に簡単に合格する
などが挙げられます。
これら金融に関係する会社は利用者から申し込みを受けると、様々な情報をもとに申込者の信用力を診断しています。
そして信用力にもとづいてサービスの条件や、申し込みを許可するか否認するかを決定しています。
もし外部の信用スコアという基準があると、内部だけでなく外部からも信用力を診断する情報を得られるので、信用力のスコアリングの精度が高くなるなどのメリットが会社側にもあります。
じっさい、信用スコアはたくさんのキャッシング・ローンの会社が導入しています。
信用スコアと金融は親和性がとても高いということでしょう。
パーソナライズ(個別化)されたサービスを使える
今の社会において、大抵の商品は大衆(マス)に向けて作られています。
これは資本主義社会ですから仕方ありません。
ですが、もし個人のパーソナルデータを大量に保有し、これを分析できれば個別にカスタマイズされたサービスや商品を個人個人に提供することが可能になります。
分野としては
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金融
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保険
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ファッション・アパレル
などが挙げられます。
これらの分野では個人の
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金融データ
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生体データ
などを活用し、その人に最適のサービスや商品を作ることが比較的簡単です。
そして、じっさいニーズもあるので実用化はかなり早そうです。
具体的には、保険などで健康年齢と連動した商品が徐々に増加しています。
保険の場合は健康年齢が若ければ若いほど保険料が安くなるので、加入者にとってはとても有り難い商品です。
審査があるサービスに合格しやすい
個人への入会審査があるようなサービスでは、信用力の高さがモノをいいます。
信用力が高ければ高いほど審査は通過しやすくなりますし、審査にかかる時間も短縮されます。
具体的な例をあげると
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賃貸物件の入居審査
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会員制高級マッチングアプリの入会審査
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高級クレジットカードの入会審査
などがあります。
もし信用スコアが社会のインフラ的に普及すれば企業の新卒や中途採用等など、就職の現場でも使われるかもしれません。
就職試験は言うまでもなく、採用する企業型がおこなう一種の審査です。
サービス利用料が値引きされたりデポジットが不要になる
信用スコアが高いとサービスの利用料金が安くなるなどのメリットもあります。
ただ、サービスの利用料金そのものが安くなるというよりは
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レンタル系サービスの保証金が無料になる
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賃貸物件の保証金が安くなったり無料になる
このように、オプション的にかかっていたデポジット料金が安くなります。
デポジット(預かり金)はそもそも相手が信用できないために発生するお金です。
もし信用スコアによって、相手が信用できると判断できていればデポジット料金はいりません。
なので、高い信用スコアを持っていれば、その人にはデポジットという仕組自体が不要なものとなります。
サービス利用料金の支払いがツケ・後払いが可能になる
信用スコアが高いと信用力が高いので、サービスの
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後払い
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ツケ払い
などがしやすくなります。
おそらく後払いやツケ払いに対応するサービス(レジなどの決済システム)が増加し、信用スコアが高い人は現金を持ち歩く必要がなく、キャッシュレスで生活ができるようになるはずです。
信用スコアが社会に浸透したら学歴のような尺度のひとつになる
信用スコアが社会に浸透したら、様々な場所で信用スコアが使われるようになります。
わかりやすい例が就職活動や転職です。
これまでは書類審査があったり面接が実施されたりしてきましたが、信用スコアが普及したら信用スコアの数値が尺度情報として重要視されるようになります。
こうなると信用スコアが低い人は大変です。
しかし、これまで能力や人格が優れていても学歴や職歴が良くない人はなかなか優良企業へ入りにくという事実がありました。
けれど、もし信用スコアが重要視されるようになれば、学歴や職歴がいまいちでも信用スコアの数値が高いから希望する会社に入社しやすいなどの変化が起きます。
これがメリットとなる人だけでなく、デメリットになる人がいると思います。
人格や能力に優れていても、よい環境に恵まれなかった人にとっては間違いなくメリットになります。
信用スコアの最大のメリットは努力が報われること
高い信用力をもつ最大のメリットは
「人から信頼される人間になろう」
と決意し、目標に向かって努力すれば報われることです。
信用スコアは個人のデータをもとに判断されます。
そして、信用スコアが高くなるようなデータは、その人が所属する社会の倫理と照らし合わせて正しい方向に努力(行動)すれば手に入れることができます。
努力した結果としてデータを手に入れれば信用スコアは高くなり、信用スコアと連携するサービスを使うことによって報われます。
努力すれば報われる社会はありそうでなかなか存在しません。
しかし、信用スコアは努力や手間ひまをかければ大抵上がります。
なので、高い信用スコアを獲得する努力をすれば報われる可能性がとても高いです。
これが、信用スコアを利用する最大のメリットではないでしょうか。
脚注・引用
↑1 | FICOスコアは一般的に「クレジットスコア」とも呼ばれます。 |
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↑2 | https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-24/OV5ITXSYF01S01 |