LINE株式会社は子会社であるLINE Credit株式会社を通じて信用スコアサービスである
LINEスコア(LINE Score)
を2019年6月27日にリリースしました。
信用スコアについては、すでに
-
ヤフー
-
NTTドコモ
-
メルカリ
などの有名企業が参入を表明しており、レッドオーシャン化しそうな雰囲気がでています。
おそらく上記の企業の他にも、個人の信用力を格付けする信用スコア事業への参入を検討&準備している企業はたくさんあるはずです。
このような状況のなか、LINEはどのような強みを持って信用スコアサービスに参入するのでしょうか。
LINEの強みはそのまま利用者にとってもメリットになるとも考えられるので、LINEスコアの
-
信用スコアサービスとしての強み
-
利用者がLINEスコアを使うメリット
などを整理したいと思います。
なお、2019年6月の時点では、まだサービスははじまったばかりです。
なので公開されている情報も少ないですが、公開されている情報をもとに整理・分析します。
このページの目次
強みその1. 日本最大級のLINEの会員基盤
LINEの2018年12月時点での月間アクティブユーザー数は7800万人となっています[1]https://www.businessinsider.jp/post-182670。
日本のスマートフォンの普及率[2]http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252110.htmlから考えると、スマホを保有している人のほとんどがLINEを利用している計算となります。
※とはいえアクティブユーザーはこの数値よりもかなり低いはずです
LINEの信用スコア「LINEスコア」はLINEアプリ上から作成が可能になります。
特に若者同士ではチャットアプリ上で信用スコアの高低を友達と競ったりするでしょうから、日本最大級の会員基盤を持つLINEは、かなり有利な条件で個人向け信用格付け事業をスタートすることができます。
利用者はアプリの新規ダウンロードが不要
すでにLINEがスマホにインストールされているということは、利用者目線だと新規の信用スコアアプリのダウンロードが不要となり、手間が省けるなどのメリットがあります。
また詳しくは後述しますが、LINEユーザーなら信用スコアに欠かせないパーソナルデータの面でも特別意識をしなくても済むというメリットもあります。
つまり、LINEとLINEのファミリーアプリさえ使っていれば様々なことが完結するのです。
強みその2. 株式会社LINEは信頼できる東証1部上場企業
信用スコアは、個人にひもづくパーソナルデータを分析することによって作成されます。
ということは、情報セキュリティの面でしっかりと対応できる企業でないとサイバーテロや犯罪による情報流出などのリスクが高くなります。
この点、チャットアプリのLINEを運営する株式会社LINEはメッセージアプリやゲームアプリを運営してつちかったセキュリテイのノウハウが期待できます。
会社も日本の株式市場である東証1部に上場しているので、そもそも会社自体の信頼性がとても高いのです。
世間からの信頼性が高い会社でないと信用スコアのようなパーソナルデータをあつかうサービスの運営は困難でしょうから、東証1部に上場しているということはかなりの強みになりそうです。
利用者は安心してパーソナルデータを渡せる
メリットというほどではありませんが、利用者にとっては「強みその2」によってパーソナルデータを預けることの心理的な不安が解消されます。
普段の生活ではあまり意識しないかもしれませんが、情報を渡す相手が信頼できる企業かどうかは必ずチェックしてください。
ただ、どんな企業でもサイバー犯罪などに遭う危険性があるので100%安全ということではありません。
これは頭に入れておきましょう。
強みその3. みずほ銀行とオリエントコーポレーションとの提携
LINEスコアはLINE Credit株式会社によって運営されます。
LINE Credit株式会社は
-
LINE Financial株式会社
-
みずほ銀行
-
オリエントコーポレーション
の3社によって運営される会社です。
みずほ銀行は「J.Score(ジェイスコア)」という個人向け融資サービスをソフトバンクと共同で設立した株式会社J.Score(ジェイスコア)を通じて運営しています。
オリエントコーポレーションはオリコカードや、ローン・キャッシング事業を運営しています。
つまり、両社ともに金融系の事業を運営しており、そこから得たノウハウをLINEはLINEスコアで活用できるということです。
とくに与信の面では、LINEにとって両社と組めることはかなり大きな強みになります。
利用者は金融での与信の精度に期待ができる
信用スコアに参入する会社の多くは「レンディング」つまり個人向け融資事業への参入も同時に行います。
これは、個人の信用力を可視化することによってその人が将来どれくらいのお金を稼ぐかなどがより高い精度で分析できるようになるからです。
つまり自分の将来性などもしっかり分析し、適切な
-
融資上限額
-
年利
などで融資をしてもらえる可能性が高くなるのです。
LINEスコアの場合は
-
LINEが保有するデータ
-
みずほ銀行とオリコの与信ノウハウ
この融合によって、より高い精度の与信が期待できます。
よって、将来に向けて努力している人であれば将来性が高いと判断され、よい条件で融資を受けられる可能性が高くなります。
じっさい、LINEは信用スコアを使った個人向け融資サービス
LINE Pocket Money(ラインポケットマネー)
のサービス開始を2019年夏に予定しています。
強みその4. LINEスコアの分析に使えるデータが多い
信用スコアはパーソナルデータを分析することによって作成されます。
LINEスコアの場合は利用者が同意した場合のみですが、LINEアプリ上でのデータが分析に利用されます。
LINEは信用スコアの分析に利用できそうな様々なサービスを保有しています。
具体的には
-
チャットアプリのLINE
-
キャッシュレス決済のLINE Pay
-
LINEスマート投資(FOLIO)
-
LINEホケン
-
LINEショッピング
-
LINEトラベル
-
LINEニュース
-
LINE家計簿
などのサービスはパーソナルデータの分析に利用できそうです。
※じっさいに信用スコアの分析にこれらのサービスすべてが使われるかは明らかになっていません
このように内部に様々なサービスを用意しているのは信用スコアに必要なデータを収集するうえで明らかな強みとなります。
利用者はLINE内のサービスを使うだけでデータを蓄積できる
LINEのサービスに信用スコアの分析につかえるデータが多いということは、利用者はLINEのサービスを使えば自動的に信用スコア分析用のデータを増やせるということです。
信用スコアは分析に使えるデータが多ければ多いほどスコアの数値が高くなる傾向があります。
なので、もし日常的にデータを増やして信用スコアを高くしたいと考えるならLINE関連のサービスを使えば良いだけなのです。
わざわざ外部のサービスを利用する必要がないので利用者側も楽になります。
LINEスコアは中国の芝麻信用のようになれるか?
LINEのような
-
無料チャットアプリ
-
キャッシュレス決済サービス
などを運営する会社が信用スコアへ参入することは中国の個人向け信用格付けサービスである
-
芝麻信用
-
騰訊信用
などのサービスを連想させます。
https://pecu-nia.com/zhima-xinyong/
ITの大規模プラットフォーマーが収集可能なパーソナルデータを活用して信用スコアを展開するという流れは日本でも流行しそうです。
LINEのような多角経営をしている会社にとって、信用スコア事業が成功すれば信用スコアを様々なサービスに利用できます。
なので2019年はLINEにとって勝負の年になるかもしれません。