株式会社NTTドコモは言わずとしれた国内3強を形成する携帯キャリアですが、i-mode全盛時代のような圧倒的な強さはなくなっています。
このような状態に強い警戒感を感じているせいなのか、ソフトバンク[1]ソフトバンクはみずほ銀行と共同で株式会社ジェイスコアを設立し、信用スコア事業に参入しています。やKDDIよりも早いタイミングで個人の信用力を格付けするサービスを2018年10月に発表しました[2]https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2018/10/17_01.html。
この記事ではドコモが提供する信用スコアサービスである
「ドコモスコアリング」
について概要や仕組みをわかっている範囲で解説します。
このページの目次
ドコモスコアリングとは
NTTドコモは個人向け融資プラットフォームの「ドコモレンディングプラットフォーム」を2019年3月から提供する予定です。
ドコモレンディングプラットフォームは
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信用スコア事業の「ドコモスコアリング」
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個人向け融資や金融アドバイスアプリ事業の「レンディングマネージャー」
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ドコモが提供するdアカウントやドコモ口座などのサービスとの連携
などを目的としたプラットフォームで、基本的にはドコモ携帯の契約者が利用できるプラットフォームとなります。
代表的な使い方をざっくりとまとまると
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「ドコモスコアリング」で自分の信用スコアを算出して
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「レンディングマネージャー」を使い、自分の信用スコアに基づいた条件で融資を金融機関から受ける
このようなサービスとなります。
つまり、ドコモスコアリングとはシンプルに融資(キャッシング)系サービスと考えることができます。
ただ、従来のキャッシングサービスと違う点は
「信用スコア」
が信用力の審査に用いられる部分です。
信用スコアとはどんなサービスなのか?
ドコモスコアリングの仕組みについて説明する前に、信用スコア自体について簡単に説明します。
信用スコアは、個人の信用力をわかりやすく数値化(スコアリング)する格付けサービスです。
数値化された個人の信用スコアは様々なサービスで活用され、基本的には信用スコアが高い人(信用力が高い人)はその信用スコアと連携しているサービスにおいて様々な特典や割引を受けることが可能となります。
信用スコアについて詳しく知りたい方は下記のリンク先をご確認ください。
ドコモの信用スコア事業の仕組み
ここからはNTTドコモの信用スコア事業の仕組みについて解説します。
ドコモの信用スコア事業「ドコモスコアリング」はすでに株式会社J.Score(ジェイスコア)が提供しているAIスコア・レンディングの「J.Score(ジェイスコア)」と似ている部分があります。
ドコモスコアリングはJ.Score(ジェイスコア)とおなじく、個人の情報(パーソナルデータ)を分析することによって個人の信用力を数値化(スコアリング)します。
ドコモスコアリングにおいてはおもに
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年齢や性別などの情報
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ドコモの携帯電話の契約内容
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ドコモ回線の利用期間
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携帯料金の支払い履歴
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コンテンツ・サービス利用状況
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金融サービスの利用状況
などの情報(データ)を信用スコアの分析に活用します[3]https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2018/10/17_01.html。
もちろんこれらの情報だけでなく、他にもたくさんの情報を分析して信用力をスコアリングしてくれます。
ただ、ドコモは強みとして契約者の携帯電話にひもづく膨大な情報があるので、これらは大いに活用されるはずです。
信用スコアは個人向け融資の信用力の判定に活用される
ドコモスコアリングとして数値化された信用スコアは個人向け融資の際の審査や限度額や貸付利率等の条件の決定に使われます。
注意したいのはドコモが利用者に対して融資をするのではなく、ドコモと提携している外部の金融機関がドコモからドコモスコアリングの提供を受けて融資する点です。
ドコモスコアリングについては、サービス開始時はおそらく
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個人向け融資
のみで活用されますが、サービスが普及するにつれて融資系以外の提携サービスも増加するはずです。
ちなみに、個人向け融資においては新生銀行と連携する予定です[4]http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1810/17/news143.html。
融資の契約や申し込み「レンディングマネージャー」アプリから
仕組みとしては、ドコモスコアリングは信用スコアの分析をすることがメインです。
なので、融資などを希望する場合は別のアプリである「レンディングマネージャー」を利用しなくてはなりません。
面倒かもしれませんが、レンディングマネージャーを利用すると融資の申し込み等ができるだけでなく、返済計画のアドバイスなども受けることが可能となります。
返済計画のアドバイスは家計簿アプリで有名な株式会社マネーフォワードが行うので、利用する価値はじゅうぶんにあると思います。
信用スコアは自分では確認できない
ドコモスコアリングは今のところ自分で自分の信用スコアを確認できない仕様になる予定です。
これも自分で信用スコアを確認できるJ.Score(ジェイスコア)との違いです。
自分では確認できませんので、確認できるのは運営会社とドコモスコアリングと連携している外部企業のみとなります。
外部への提供は契約者の同意が大前提
自分の信用力が信用スコアというかたちで数値化されることに抵抗を感じる方は多いと思います。
そのような方はデータの活用に同意しなければ良いだけです。
基本的にドコモスコアリングは利用者の同意が大前提となり、同意しなければ信用スコアは作成されません。
NTTドコモの参入で信用スコア事業は激化
日本で信用スコアという言葉が使われることが増えたのは2017年の後半くらいからです。
しかし、2018年になって急速にメディア等で取り上げられる機会が増加しています。
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LINE
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yahoo!
などの有名IT企業も続々と事業参入の名乗りを上げています。
今回のNTTドコモによる信用スコア事業の参入はこの競争をさらに激化させるもので、信用スコアを歓迎するユーザーにとってはこの日本を代表する大企業の参入はこれ以上ない朗報となりそうです。
別途自分の銀行口座と連携すれば、マネーフォワードの機能を用いて家計診断が行われ、返済についてのアドバイスも表示される。
新生銀行グループが、レイク事業で培ってきた個人向け無担保ローンの審査ノウハウに加え、ドコモスコアリングを活用。利用者に対して、より最適化された取引条件を提案できるようになるという。
また、レンディングサービスは、スマホですべてが完結し、カードを必要としないことも特長。アプリ「レンディングマネージャー」を通じて、計画的な利用をサポートする機能も提供する。
脚注・引用
↑1 | ソフトバンクはみずほ銀行と共同で株式会社ジェイスコアを設立し、信用スコア事業に参入しています。 |
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↑2, ↑3 | https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2018/10/17_01.html |
↑4 | http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1810/17/news143.html |