AI(人工知能)を使って個人の信用力を評価するサービスが増えています。
日本ではソフトバンクとみずほ銀行が運営するAIスコア・レンディングの
があり、海外に目を向ければ中国の芝麻信用が猛威をふるっています。
これらのサービスで、AIから
信用力が高い=AIスコアが高い
と評価された人は、有利な条件でサービスを利用できることになります。
J.Score(ジェイスコア)では借りるお金の金利が下がります。
芝麻信用ではローンの審査だけでなく、旅行や婚活でもAIスコアが高い方が有利になります。
もしこの流れが拡大していけば、信用力(スコア)が低いと評価される人と高いと評価される人の人生に格差が生じるかもしれません。
信用力を高くするにはAI視点からみて
「この人の信用力は高い」
と分析・判断してもらうしかありません。
そして、AIは分析・判断にあたってデータをつかいます。
データというのはプロフィールの情報のことです。
AIはデジタル情報となったプロフィールをプロファイリングして個人の信用力を診断します。
なので、AIから見て評価が高いプロフィールを持てば、それはそのまま高いAIスコアにつながる確率が高いのです。
では、どんなプロフィールがAIに高く評価されるのでしょうか。
このページの目次
信用力とは?
信用力が高いプロフィールについて説明するまえに、信用力そのものについて説明します。
信用力(しんようりょく)とは、
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銀行から企業へ融資するとき
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消費者金融から個人へ融資するとき
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クレジットカード会社が申込者を審査するとき
など、金融の世界で使われることが多かった言葉です。
代表的な例がクレジットカードで、クレジットカードの「クレジット(Credit)」には
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信頼
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信用
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評判
という意味があります。
企業や個人に信用力があれば、その信用を担保として
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お金を借りる
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(クレジットカードを使った)信用取引でモノを買う
などが可能になり、もし信用力が足りなければこれらの行動はできません。
金融以外の業界でも信用力は審査されている
信用力は様々な場面で審査・測定されています。
企業などの法人だけでなく、個人同士でも行われていることです。
例を挙げると
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マッチングアプリで会った人のFacebookやTwitterなどを見てふだんの人柄や友達の雰囲気を確かめる
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Airbnbでゲストからホストへの評価を確認する
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amazonの中古品出品者の過去の評価を確認する
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ネットで口コミや体験談を確認する
これらの行動も信用力の審査・測定の一種だと考えられます。
ネットと接続していない現実世界でもこのような相手の審査と分析はつねに行われています。
というのも、人は生活していて出会う相手の
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相手の外見やしぐさ
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言葉遣い
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プロフィール
などの情報から相手を信用できるかどうかを、自分の脳内に蓄積された過去のデータと比較しながら値踏みしているからです。
このように、信用力については誰もが常にお互いを審査・分析をしています。
なので、信用力を高くする努力をして、その努力が人生において無駄になることはまずないだろうと考えられます。
信用力が高いと評価されるプロフィール
ここからはプロフィールの項目を細分化し、その項目ごとでどんなデータを持っていれば信用力が高くなりそうかを推測します。
注意したいのは、ひとつの項目が優れていても評価というものは総合的な情報から判定される、ということです。
だからひとつの項目が悪くても気にする必要はありません。
なお、人工知能の場合はスコア等を算出する過程や理由は開発した人からもわからないことが多々あります。
なのでどのようなプロフィールが高く評価されるかは過去・今・未来の社会や人の価値観の変化の流れなどを考えて推測することしかできません。
確実に言えるのはその時代に人から高く評価されるプロフィールが人工知能から見ても高く評価される、ということです。
人工知能は人の思考回路の模倣なので、人から高く評価される人は人工知能からも高く評価される確率が高いのです[1]人では見つけられない欠点を人工知能が簡単に見つける、という時代がくる可能性もあります。。
年齢について
年齢についてはまず成人しているかどうかが問題になります。
2019年現在では20歳に達しているかどうかがひとつの基準となります。
また、高齢の方だと世間一般的な定年に達しているかどうかが問題になります。
成人の定義は近い将来下がるでしょうし、少子高齢化の影響で一般的な定年も上がっていくでしょう。
国民的アニメ「サザエさん」の登場人物である磯野波平さんは定年間近の男性という設定ですが、年齢は54歳です。
とても定年前の人物には見えず、引退して悠々自適な生活をしていそうな外見です。
年齢については時代によって基準は変わりますが、信用力で目安になるのは年齢にふさわしい収入があるかどうかです。
年齢と年収がセットで評価されるのです。
さらに、生産年齢と呼ばれる年齢の範囲内で[2]2019年現在の生産年齢は15歳以上65歳未満となっています。
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定年まで時間がある
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収入があり、しばらくは年収が上がり続ける確率が高い
このふたつを満たしていれば信用力は高く評価されるでしょう。
勤務先の会社について
日本では「勤務先の企業」によって人の評価がおおきく変わります。
特に男性ではこの傾向が顕著です。
日本を代表するような大企業に勤務していれば、婚活・同窓会などでもかなり注目されるでしょう。
つまり大企業勤務というのは非常にわかりやすいステータスなのです。
勤務先の会社として、高く評価されるのは
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上場企業
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有名外資系企業
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資本金が3億円以上の大企業
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従業員が300人以上の大企業
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国家・地方公務員
などです。
上場企業の場合は決算情報が公開されていますので、企業の業績を含めて分析ができるのでAIにとっても評価がしやすいでしょう。
ただ、時代の変化から超有望ベンチャー企業で働いている人などはその将来性をみて高く評価してもらえる確率が高くなっているように思います[3] … Continue reading。
勤務形態について
勤務形態については
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経営層(経営者や取締役)
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正社員
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契約社員
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派遣社員
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アルバイト・パート
などがありますが、一般的には上から下にいくにつれて評価が下がります。
ただ、この中でも「営層(経営者や取締役)」については傾きかけた会社の経営者や取締役は高く評価されません。
とくに会社に負債がある場合、経営者が個人保証で借り入れなどをしていることがあるので、この場合は評価は低くなります。
経営層の場合は
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会社の業績が好調なら評価が高くなり
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会社の業績が下降気味なら評価が下がる
となるので会社の業績次第ではあります。
勤務年数について
勤務年数もその人の信用度を測るうえで目安となります。
よく「何があっても3年は我慢しろ」と年配の方は言いますし、
「石の上にも3年」
ということわざもあります。
実は銀行からのカードローンの審査などでは勤務年数が3年以上か3年未満かが与信評価において大きな差になるといわれています。
なので、大きな借り入れやローンなどを考えている方は3年は我慢し、審査に通過して融資を受けてから退職をした方がよいかもしれません。
3年以上の場合はやはり勤務年数が長ければ長いほど高く評価されやすいです[4]昔と比べるてと会社員の転職は普通になっていますので、将来はこのような価値観が変わる可能性があります。。
勤務形態とかぶりますが、3年は正社員としての勤務年数です。
アルバイトやパートでは勤務年数はあまり評価の対象とはなりません。
転職回数について
日本ではそもそも転職自体がネガティブなイメージがあります。
しかし、いまでは転職をすることが普通になりつつあるので、
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0〜2年未満などの短い期間での転職
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業種や職種が転職の度に変わる
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転職するたびに役職や年収が下がる
などに該当しなければそれほど評価は下がりません。
しかし、キャリアに対しての考えが無く、なんとなくの転職を繰り返すと極端に評価が下がる可能性があります。
高く評価される自営業者とは?
個人事業主である自営業者と会社の代表取締役は似て非なるものであり、一般的に個人事業主は信用度があまり高くありません。
というのも、個人事業主として事業をはじめても、事業規模が大きくなれば節税のためにだいたい法人になるからです。
よって個人事業主のままでいる人は事業が拡大できていない、もしくはするつもりがないと第三者からみなされます。
もしこのような状態なら株式会社であっても銀行やマーケットから高く評価されませんし、個人事業主ならなおさらです。
そんな個人事業主ですが、高い信用力を持つためには事業を拡大させるしかありません。
そして、毎年しっかり確定申告をすることが大事です。
確定申告をしていない個人事業主は無職と同じ扱いを受けるので、どんな規模であれ毎年の確定申告は絶対にしてください。
そして、事業が拡大したら法人格を取得し、信用度を高めてください。
年収について
年収についての評価は難しいです。
というのも、状況次第だからです。
どんなに年収が高くても、その年収にふさわしくない行動をすると評価は上がりません。
例をあげるなら
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年収が高いのに消費者金融からお金を借りる
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年収が高いのにクレジットカードの支払いを遅延する
などです。
基本的には会社員の平均年収前後の所得があれば一般的な審査ならまず落ちません。
ただ、年収が200万円以内だと金融活動において信用度は下がります。
もし年収が200万円以下でも勤務先が上場企業だったりすれば信用度は上がるので、
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信用度を審査される状況
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職業や年齢など他のプロフィールの内容
によって信用力の審査結果に大きな違いがでるでしょう。
住居形態について
住んでいる住居の形態も信用力を測る目安となります。
信用力が高いと判断される順番の目安は
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持ち家(名義上の所有者であれば信頼度はとても高くなります)
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アパート・マンション(官舎・社宅)
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賃貸アパート・マンション
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住居不定・ネットカフェ等
となります。
ただ、大手不動産会社が入居の審査や管理をおこなうような高級なマンションに住んでいる場合は信用度が高くなります。
これは、高級マンションに住めるという事実(高額な家賃を毎月払えたり・管理会社による審査に合格している)があるていどの信用力を保証してくれるからです。
居住年数について
居住年数にはついては1年未満などの短期間で引越しを繰り返していないかが目安となります。
短期間で何度も引越しを繰り返す人は
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働く場所が短期間で変わっている
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ご近所さんとのトラブルを繰り返している
などと人に判断される可能性があります。
なので性格的なものもあると思いますが、あまりにも短期間で連続される引越しはしないほうがよさそうです。
居住地域について
住んでいる地域からその人の人柄や考え方を知ることができます。
一般的には
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犯罪が少なくて治安が良い地域に住んでいる
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深夜まで営業している歓楽街などが無い地域に住んでいる
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地価や賃貸物件の相場が高い地域に住んでいる
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地価や賃貸物件の相場がここ数年の間に急に高くなった地域に住んでいる
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高級住宅街として有名な地域に住んでいる
などに該当すると信用力が高くなりやすいです。
信用スコアでもプロフィールは重要
職歴や年収はおそらく近代以降とても重要視されていた項目です。
これは、信用スコアが普及するであろう未来でも同じことです。
プロフィールはいわば家の柱のような部分ですので、ここが脆いと全体として高く評価される確率が減るのは間違い無いでしょう。
なので、まずは良いプロフィールを得ること、これが重要になります。