2010年代になり、
「ビッグデータ」
という言葉がメディアで使われるようになりました。
2018年くらいからはビッグデータを使って信用力を可視化する
「信用スコア」
という言葉がメディアで使われるようになりました。
そして、少し前の2017年くらいから
「キャッシュレス決済」
もひんぱんにメディアで取り上げられるようになりました[1]googleトレンドによると2017年4月頃より増加傾向にあります。。
信用スコアとキャッシュレス決済は同じようなタイミングで日本語として使われるようになったのです。
これはただの偶然ではなく、関係性があります。
この記事では信用スコアとキャッシュレス決済の関係性を解説します。
そして、信用スコアが普及した未来おいて利用者はどのようにキャッシュレス決済サービスを使えば良いのかも解説したいと思います。
このページの目次
なぜキャッシュレス決済に参入する企業が多いのか?
信用スコアとキャッシュレス決済の関係性を説明する上で、
「なぜ企業はこぞってキャッシュレス決済事業に参入するのか」
この理由を理解するのが最も大切なので、まずは各企業がキャッシュレス決済に参入する理由を説明します。
実は決済手数料以外にも欲しいものがあり、それを求めては各社は参入するのです。
キャッシュレス決済はただの手数料ビジネスではない
キャッシュレス決済はクレジットカードなどとビジネスモデルは似ており、直接的な収益は決済時に発生する決済手数料です。
※決済手数料は店舗側が負担するので決済を使う顧客は購入代金以外は気にしないで大丈夫です
手数料は0〜数%の間なので、そこまで高くありません。
塵も積もれば山となる、これは正しいのです。
しかし、仮に手数料が3%だとしたら1年間のあいだに1兆円の決済が発生しても売り上げは300億円です。
キャッシュレス決済は
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サービスの開発
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サーバーの増強
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インフラの整備
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セキュリティの維持
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広告宣伝
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キャンペーンの実施
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新規提携店舗の開拓や既存店のケア
などで非常に多くのコストがかかる事業です。
なので仮に年間で300億の売り上げがあっても黒字にならない可能性があります。
けれど、
「○○Pay」
このような名前の決済サービスは増える一方です。
キャッシュレス決済のカオスマップを見ても、どれを使えばいいのかわかりません。
ただ混乱するだけです。

クラウドキャスト株式会社代表取締役星川高志さんによる記事から引用
なのにたくさんの企業がキャッシュレス決済の分野に参入するのは
「新しい時代の石油」
と呼ばれるものを求めているからです。
ビッグデータからビジネスがはじまる
「新しい時代の石油」
とは、
「ビッグデータ」
のことです。
これから到来するとされるデータ駆動型社会において、ビジネスの燃料になるのはビッグデータです。
ビッグデータの中でもキャッシュレス決済から得られるデータは重要視されています。
キャッシュレス決済を例にすると、キャッシュレス決済のデータを分析することにより、個人の
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収入
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性格
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趣味
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家族状況
などをざっくりと把握することができると言われています。
これらの情報を得ることによって
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広告の配信
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キャッシング・ローンの与信
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商品のレコメンド(推薦)
などをはじめとした様々なことに活用するのです。
google・facebook・amazonなどはデータを活用することによって急成長し、世界を代表する企業になりました。
遅ればせながら、日本企業もデータを活用してこれらの企業に対抗しようとしているのです。
これがキャッシュレス決済事業に参入する企業の目的です。
※とうぜんデータ以外の異なる目的で参入する会社もいると思います
信用スコアとキャッシュレス決済の関係性
ここまでで、キャッシュレス決済に参入する企業の目的はビッグデータだと述べました。
ここからは本題である信用スコアとキャッシュレス決済の関係性についてです。
信用スコアについての基本的な知識については下記のリンク先で確認してください。
ざっくりと知識を持っていた方が理解しやすいと思います。
キャッシュレス決済のデータはパーソナルデータの宝庫
すでに述べた部分とやや重複します。
キャッシュレス決済のデータは個人にひもづく情報、パーソナルデータの宝庫です。
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いつ
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どの地域で
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どの店舗で
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何を購入したか
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いくらくらい購入したか
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どれくらいの頻度で購入したか
これらの情報がキャッシュレス決済のデータとして蓄積されます。
そして、これらの情報をAI(人工知能)やデータサイエンティストが分析することにより、さまざまな事が推測できるのです。
この
「さまざまな事」
の中には個人の信用力の測定も含まれます。
キャッシュレス決済のデータは信用スコアの作成に利用できる
キャッシュレス決済のデータを分析すれば個人の信用力を測定することができます。
そして、測定された信用力は
「信用スコア」
として数値で可視化することが可能です。
個人の信用力が数字で可視化される、というのは何やらSF的ですごそうな印象があります。
しかし、信用力は数値化されるだけでは特に役に立ちません。
生活やビジネスの様々なシーンで使われることによってはじめて役立ちます。
信用スコアは個人対個人の取引など活用できる
ここまでで、キャッシュレスのデータを活用すれば信用スコアが作成できると説明しました。
では、個人はどのような分野で自身の信用スコアを活用できるのでしょうか。
ざっと挙げると
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シェアリングエコノミー
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融資・ローンの審査
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賃貸物件の審査
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あと払いやツケ払いが可能になる
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個人間のマッチング系サービス
などが分野において信用スコアが高いとメリットが発生します。
なかでも特に活用が期待されるのが、シェアリングエコノミーをはじめとした「CtoC」領域のビジネスです。
インターネットは個人と個人をマッチングする強力な力があります。
けれど、残念ながらインターネットを悪用した詐欺等の犯罪やトラブルは増える一方です。
もし信用スコアが普及しさまざまなWEBサービスに導入されたら、信用スコアが低い利用者との取引や交流を控えることで危険性が下げられるようになるかもしれません。
信用スコアに参入する企業は自社の経済圏を作りたい
情報として補足すると、信用スコアを作っている会社は信用スコアに外部への提供によって手数料を得られることがあります。
信用スコアサービスを運営する企業による全体の流れを整理します。
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キャッシュレス決済サービスによって顧客のパーソナルデータを得る
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パーソナルデータを分析することによって顧客の信用スコアを作成できる
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信用スコアが普及したら外部にスコアを提供できる
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自社の信用スコアを使う外部企業が増えれば自社の収益が増える
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外部企業からデータをフィードバックしてもらうことで自社のデータが増える
-
データが増えればより精度の高い信用スコアが作成できる
おおまかな流れはこのようになります。
まとめると
-
キャッシュレス決済
-
信用スコア
はともにデータビジネスとなり、キャッシュレス決済の成功者は貴重なパーソナルデータを獲得することにより信用スコアが作成できます。
そして、信用スコアを作成することによって、これを外部に提供し自社の経済圏のようなものを作れるのです。
キャッシュレス決済に取り組む会社の多くは自社の経済圏を作ることが最大の目的のはずです。
データによって作られる経済圏において、キャッシュレス決済は非常に大きな役割を持ち、決済データを起点として様々なビジネスが生まれる可能性がある、ということなのです。
キャッシュレス決済や信用スコアについての補足
最後に、個人が信用スコアやキャッシュレス決済サービスを利用する上で知っておきたい情報を補足します。
キャッシュレス決済の利用=信用スコア作成ではない
ここまでキャッシュレス決済と信用スコアの密な関係について説明してきました。
ですが、キャッシュレス決済サービスを利用することによって必ず信用スコアが作成されるという訳ではありません。
すくなくとも日本においては、企業が顧客の信用スコアを作成する前に必ず同意を求めます。
信用スコアに対して不安や警戒感を感じているのなら同意を拒否すれば良いだけです。
拒否すれば信用スコアは作成されません。
また、キャッシュレス決済サービスを運営する会社がすべて信用スコア事業に参入している訳ではありません。
信用スコア事業に参入していない会社の決済サービスなら使っても信用スコアが作成されることはありません。
キャッシュレス決済を使えば信用スコアが高くなるのか
もし、キャッシュレス決済サービスを運営している会社が信用スコアを運営しており、利用する人もスコアの作成に同意していると仮定します。
このような状況で利用者が自身の信用スコアを高めたいとしたら、同じ会社のキャッシュレス決済を利用することによってスコアの数値が高くなる確率が高いとされています。
これは、基本的に信用スコアには信用力の分析に使えるデータが蓄積されればされるほど数値が高くなる傾向があるからだと思います。
しかし、キャッシュレス決済データをはじめとした様々なデータを信用スコア分析用として提供したとしても、必ずスコアが上がるという保証はありません。
そもそも100%上がる方法というのは運営会社が公表している方法以外はありません。
だから特にネット上にあるような情報は鵜呑みにせず、自分の頭で判断することが大事です。
でないと詐欺目的の人に簡単に騙されてしまう、なんてことになりかねません。
キャッシュレス決済と信用スコアの両方を使わないという選択肢もある
キャッシュレス決済と信用スコアはともにデータ社会において有望視されている分野です。
しかし、もし利用者が利便性を感じなかったり利便性よりも不安が上回るなら両方とも使わないという選択肢もあります。
世の中のサービスは総じて何かしらの問題を解決するために開発されます。
なので、自分にとってのメリットとデメリットをしっかり判断した上で利用するか否かを判断してください。
脚注・引用
↑1 | googleトレンドによると2017年4月頃より増加傾向にあります。 |
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