これから日本でもキャッシュレス化が進むことを考えると[1]https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180410/k10011396841000.html、クレジットカードも持っていないとなにかと不便な時代になりそうです。
キャッシュレスという問題だけでなく、個人の信用力がデータによって可視化される時代がきた時の対策としてもクレジットカードは必要です。
では、「個人の信用力」のことを考えるとクレジットカードは何枚保有すれば良いのでしょうか。
絶対的な答えはありませんが、信用力という観点からこの問題を考えたいと思います。
このページの目次
クレジットカードの枚数が0だと信用力的にはどう評価されるか
現金主義という言葉があるくらいですから、クレジットカードをもたない主義の人もいます。
クレジットカードを持っていないと信用力の面ではどのように判断されるのでしょうか。
現金主義もいいのですが、クレジットカードが0枚で現金での売買だけだと決済履歴が残らず、信用や評価の面で悪影響も考えられます。
クレジットヒストリーが無いと「評価材料が無い」とみなされることも
クレジットカードを持っていないということは、クレジットカードの決済履歴である
「クレジットヒストリー」
が無いことを意味します。
クレジットヒストリーは主に日本の金融機関が個人の信用力の審査に使うデータで、このデータがないと判断材料が無いとされ、各種審査のときに落とされることがよくあります。
不公平に感じる方もいるでしょうが、これは日本だけのことではありません。
アメリカでは個人のクレジットカードの支払い履歴(クレジットヒストリー)をもとに
「クレジットスコア(FICOスコア)」
と呼ばれる数値を作り、これを信用力の偏差値として就職や賃貸の審査など、生活の様々なシーンで使われています[2] … Continue reading。
日本のおとなり中国でも似たような仕組みがあります。
中国では芝麻信用という個人の信用力を総合的に数値化するサービスが普及しており、信用力を判断する上でクレジットヒストリーは重要なデータとして使われています[3]芝麻信用はクレジットカード以外にも、決済サービス「アリペイ」などの決済データも活用します。。
https://pecu-nia.com/zhima-xinyong/
クレジットカードの履歴は購買力の証拠と考えられる
クレジットヒストリーと関連しますが、特にアメリカではクレジットカードの決済履歴はその人の購買力の指標と考えられています。
つまりクレジットカードの支払い能力と購買力がデータとして相関性があると判断されていることになります。
この価値観にもとづくと、クレジットカードをもっていない人は問題外となります。
日本ではここまで極端な考え方をしませんが、文化や生活習慣の欧米化が進んでいるのは間違い無いので早めに対策をしておくべきとも考えられます。
この考え方だとクレジットカードは持っているだけでは意味がありません。
適切な範囲内で定期的にクレジットカードを使用することによって自分の購買力や稼ぐ力を証明できるのです。
クレジットカードが無いと社会人としての不審がられる可能性
学生ならともかく、社会人として普通に生活していればクレジットカードを使うシーンは必ずと言っていいくらいあります。
会社員として生活すればお付き合いでクレジットカードをつくる機会なども出てきます。
それなのにクレジットカードを持っていないと友人や恋人から性格が変わっている人だと思われる可能性があります。
事情によってカードを作れない人だと判断されることも
クレジットカードを持っていないと
「クレジットカードを作れない人」
だと拡大解釈される可能性もあります。
事実として、
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過去数年以内に自己破産の経験がある
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反社会的勢力に属している
などに該当する方はクレジットカードの審査に合格しません。
何枚持てば良いのか?枚数が多くても大丈夫か?
ここまでの記事でクレジットカードがないと意外とデメリットが多いことに気づいたと思います。
クレジットカードについて基本的なことを説明すると、クレジットカードをつかった決済は自分の信用力を使って第3者が代金を立て替えてくれる決済方法です。
これだと別にクレジットカードの所有枚数と信用力はあまり関係なさそうです。
むしろ作れるなら作れるだけ作った方が審査に合格した、ということで信用力の証拠になりそうな印象もあります。
ですが、じっさいはクレジットカードの所有枚数は適切な範囲で抑えた方が信用力は高くなります。
これはなぜなのかを解説します。
多重申し込みによる申し込みブラック
クレジットカード会社に申し込みをすると、申し込みを受け付けた会社は信用情報機関という団体にデータの照会をします。
そこで特定の人物が
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短期間のあいだに
-
複数回のクレジットカード発行の申し込み
をしているというデータがあれば審査に落ちる確率が高いです。
つまり信用情報機関はクレジットカードの発行申し込みの履歴も管理しているということです。
ふつうに暮らしていれば短期間のうちにクレジットカード発行申し込みをすることはまずありません。
なので数ヶ月間の間に複数回の申し込みをするような人は「申し込みブラック」となり、しばらく間は新規でのクレジットカード発行ができません。
ただ新規発行ができないだけで、すでに保有しているカードなら決済に使うことは問題ありません。
住宅ローンの審査に悪影響
住宅購入はおそらく人生で最も高い買い物です。
現金で購入できる人はすくなく、銀行などで住宅ローンを組むのが一般的です。
住宅ローンの審査ではクレジットカードの保有枚数がチェックされます。
そして、ケースバイケースですが保有枚数が多いと
「将来的に支出が増えて家計を圧迫するのではないか」
と判断されることがあります。
このように判断されると審査において不利になります。
保有数が2〜3枚なら問題ないと思いますが、住宅ローンなどの審査が近い将来控えているときはクレジットカードの新規申し込みは控えた方がよさそうです。
この傾向はアメリカでも同じで、保有するクレジットカードの枚数が多いとそのカードを使う確率が高いので支出が多い人と判断されます。
データで判断される時代になった時にどうなるか
個人の信用力がデータによって判断される時代は近いです。
そんな時代になり、もし
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クレジットカードの保有枚数が多い人は将来収入が増えない
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クレジットカードを1枚しか所有していない人は堅実な性格だ
などのデータ的な相関関係が明らかになるかもしれません。
この例のまま、もしクレジットカードの保有枚数が多い人は将来収入が増えない確率が高いとします。
こうなると信用力を判断する人工知能もそのように判断するでしょう。
そんな時代が来たらすみやかにその時代に最適化するしかありません。
自分の評価や信用力に対して不都合なデータは削除するのが最適です。
多すぎでもゼロでもない2〜3枚が適切
ここまでの結論としては、
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0枚だとなにかと差し支えがある
-
けれど多すぎても良くない
となります。
よってクレジットカードの保有枚数は2〜3枚程度が適切ではないかと思います。
1枚でもとくに不便なことは無いと思うのですが、決済以外の面でのメリットも考えると2〜3枚が適切です。
多い場合は枚数を減らす
適切な枚数を超えており、使っていないカードがあったら保有枚数を減らしてください。
けれど、減らしたいカードをゴミ箱に捨てたりしてはいけません。
シュレッダーにかけてバラバラにしたから安心ということではなく、カードは発行元に対して解約の手続きをしないと信用情報上ではずっと保有していることになります。
面倒だとは思いますが、ネット等でカード会社のホームページから解約方法を確認してください。
ちなみに解約したら解約したクレジットカードの信用情報は無くなる、ということはありません。
むこう数年間は履歴として残ります。
なので、もし決済に使っていたらきっちりと支払いを終えてから解約しましょう。
解約時に注意したいのは契約したばかりのカードの解約です。
契約して間もないのにクレジットカードの解約をすると信用情報に傷がつきます。
なので契約してから半年以上経ってから解約の手続きをしましょう。
信用力を高めるなら日常的に使う
すでに少し説明しましたが、信用力という面ではただカードを持つだけでなく、日常的に使った方がよりベターです。
ですが、ここで支払いの遅延や未払いをしては意味がありません。
クレジット決済したものは必ず支払い期限を守ってください。
ここで金融事故を起こすと逆に評価はいちじるしく下がります。
また、保有するカードの組み合わせとしては
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もっとも使用頻度が高そうなクレジットカード
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ポイント面で最もメリットが大きそうなクレジットカード
このふたつがあれば良いのではないかと思います。
最近はポイント面でサービスが充実したカードが増えていますし、将来的にポイントを貯めることが個人の信用力を高めることになる可能性もあるので、そういった意味でもこの組み合わせが良いのではないかと思います。
脚注・引用
↑1 | https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180410/k10011396841000.html |
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↑2 | 算出にあたってクレジットカード履歴以外にもたくさんのデータが使われていますが、クレジットカードの支払い履歴はスコア算出にあたってかなり大きな割合を占めます。 |
↑3 | 芝麻信用はクレジットカード以外にも、決済サービス「アリペイ」などの決済データも活用します。 |