情報銀行はこれまで個人や企業が自分たちのためだけに保有・活用していたパーソナルな情報を安全に収集・管理し、それを有益に活用してデータの所有者である個人に対価を還元しようという目的のもとに作られた仕組みです。
なので、情報銀行を利用する消費者、つまり自分のパーソナルデータを情報銀行に預ける人には様々なメリットが発生します。
この記事では個人が情報銀行に情報をあずける(信託する)ことのメリットについて網羅的に解説したいと思います。
このページの目次
情報銀行にデータを提供する人には直接的なメリットがある
個人が情報銀行にデータを提供・信託すると直接的なメリットがあります。
メリットをそれぞれ解説する前に、あらかじめ挙げておくと
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パーソナライズ(個別化)されたサービスを受けられる
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お金で報酬を受け取ることができる
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企業独自のポイントや割引クーポンを受け取ることができる
などのメリットがあります。
それぞれを順番に解説していきます。
パーソナライズ(個別化)されたサービスを受けられる
世の中に存在するサービスのほとんどは特定の個人を対象として企画・開発されるのではなく、最大公約数的な利用者の属性(年齢や収入等)を定め、これをターゲットとして開発されます。
たとえニッチ市場を狙ったサービスでも、ニッチ内の最大公約数的なユーザーを利用対象とすることがほとんどです。
情報銀行に個人のデータを預けると、預けられたデータを企業が分析し、その人向けにパーソナライズされたサービスを提案してもらえたり受けることができます。
この、パーソナライズは日本語で表現すると
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個別化
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個人個人に最適になるようにカスタマイズ
などの意味があります。
もちろんカスタマイズできる範囲は限られていますが、例としては
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過去の訪問した旅行先データを分析し、満足度が高い旅行ルートを提案
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提供された遺伝子情報データを分析し、持病に対してもっとも効果が高い薬を提案
などが挙げられます。
ただし、個別化されたサービスを受けるためには、趣味嗜好に関する情報や、かなり細かい情報を提供する必要があります。
つまりデータを提供すれば提供するほど分析結果の精度が高くなり、自分向けにパーソナライズされたサービスを受けられるチャンスが増えるということです。
データが活用されたらお金で報酬を受け取ることができる
企業は情報銀行を通じて消費者のデータを受け取り、それを自社のサービスに反映させることによって顧客満足度を高めることができます。
データを分析して新規商品の企画をすることもできるでしょう。
もし情報銀行のデータが商品開発等に活用されたら、データを提供した人は
「お金」
という直接的な形で報酬を受け取れる可能性があります。
このような場合は珍しい属性のデータを提供すればするほど、その希少性から大きなお金に変わる確率が高くなると思います。
希少性が高いデータの例を挙げると
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超高収入
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珍しい資格を保有している
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特定の病気にかかる人の割合が極端に少ない地域に住んでいる
などが考えられます。
逆で、ごくごく平均的な日本人のデータは同じようなデータの提供者が多いので、データ提供の対価として得られる報酬は少なくなるかもしれません。
ポイントやクーポン等でも報酬を受け取ることができる
お金で報酬が受け取れるのと内容的にはかぶるので説明は省略しますが、データが活用されたら企業から
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特定のサービスで利用できる独自ポイント
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特定のサービスで利用できる割引クーポン
などを受け取ることができます。
企業によっては独自で発行する仮想通貨などになるかもしれません。
独自ポイントやクーポンの方が企業としてはリスクが少ないので、情報銀行の初期の手探り状態ではポイントやクーポンが報酬となることが多そうです。
企業に個人情報を預けるリスクを減らせる
財布の中がさまざまな会社や店舗が発行するポイントカードやスタンプカードでいっぱいになっている人は多いと思います。
たくさんのカードを作っているということは、発行元に対して個人にひもづく情報を提供しているということでもあります。
つまり、各社に自分の情報を渡しているのです。
そのなかには情報セキュリティに設備投資をしていなかったり、セキュリティ系の人材が乏しい企業もあるはずです。
なので、ハッキング等の犯罪によって情報が流出するなどの危険性があります。
もし情報銀行に自分の情報を預ければ、基本的には情報銀行内で自分の個人情報が守られます。
情報は提供されますが、データを管理・保守するのは情報銀行の運営会社です。
情報銀行はその事業形態上セキュリティには細心の注意を払っているので、普通の企業に情報を預けるよりもはるかに高い安全性が期待できます。
複数の情報銀行の中から選択可能
情報銀行は事業としてみると参入障壁が高くて新興企業が参入するのは難しいです。
なので、大手メディアで取り上げられるような有名企業が運営することが多くなります。
情報銀行に興味がある方は複数の情報銀行の中から好きな情報銀行を選び、登録することができます。
個々の基準で
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利用者として信頼して個人情報を信託できる企業
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データ活用に興味があるクライアントが多そうな企業
などを選び、登録してください。
もちろん複数の情報銀行に登録し、どれが良いかを体験しながら検討することも可能です。