Fintech(フィンテック)のブームがきっかけになり、
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◯◯tech
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◯◯テック
という言葉がメディアで使われるようになりました。
これらの「〜テック」と呼ばれるサービスにはフィンテックのように本当に世界を変えてしまうものもあれば、ただ流行にのっただけですぐに廃れてしまうサービスもあります。
この記事では「〜テック」の中でも比較的新しい
Credit Tech(クレジットテック)
について全般的に解説をしたいと思います。
はたしてCredit Tech(クレジットテック)はフィンテックのようにメジャーになるのでしょうか。
このページの目次
Credit Tech(クレジットテック)とはどんなサービスなのか?
まずはCredit Tech(クレジットテック)にはどんなサービスがあるかを解説します。
サービスの仕組みを説明する前に、まずはCredit Techの意味について知っておいた方が理解しやすいので意味を先に説明したいと思います。
Credit Techとは、英語の
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Credit:意味は「信用」や「信頼」
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technology:意味は「テクノロジー」や「技術」
を組み合わせた造語です。
英語のCredit(クレジット)はクレジットカードの「クレジット」と同じなので、日本語のように使われている言葉でもあります。
意味でいうと、Credit Techとは人の信用力や信用情報を新しい技術や価値観で取り扱うサービスや企業全般のことを意味します。
人間は物々交換の時代から他者を信頼するかどうかを
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見た目
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しぐさ
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話し方
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出身地
などの情報を使い、それぞれが独自の視点や自分に蓄積された情報(データ)と照らし合わせて判断していました。
しかし、本当にその人が信頼できるかどうかは誰にもわかりません。
その人を信頼するかどうかは現代においても重要な問題で、この問題を
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ビッグデータ(大量のデータ)
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AI(人工知能)
を使って技術的に解決してくれるのがCredit Tech(クレジットテック)です。
では、Credit Techにはどんな種類のサービスがあるのでしょうか。
Credit Techの代表的なサービスの種類をいくつか紹介します。
種類その1. 信用力を信用スコアとして可視化するサービス
Credit Techの代表的なサービスは、個人や会社の信用力を信用スコアという数値で可視化してくれるサービスです。
このようなサービスは個人の信用力を診断するための膨大なデータを持つ信用情報プラットフォームともいえます。
ただし、他人の信用スコアはネットで公開されていたり直接お願いして見せてもらわない限り確認できません。
サービスを使って確認できるのは自分の信用スコアだけです。
そして、信用スコアの算出には自分のパーソナルデータの提出が必須となります。
信用力を可視化してくれるサービスを使い自分の信用スコアを確認したら、次はその信用スコアと連携しているサービスを使いスコアを活用する段階にうつります。
種類その2. 信用情報や信用スコアを活用できるサービス
種類その2の
「信用情報や信用スコアを活用できるサービス」
とは、種類その1の
「信用力を信用スコアとして可視化するサービス」
と連携しているサービスです。
具体的には
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種類その1の信用スコアを可視化するサービスを使って数値を確認し
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種類その2の信用スコアを連携しているサービスを使う
このようにすると、種類その1で確認した信用スコアの数字によって
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入会がしやすくなる
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サービスの利用料金が安くなる
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サービスの内容で優遇される
などのメリットが発生する仕組みです。
この場合は、新規入会等や課金が発生するたびに連携しているサービス側は信用スコアプラットフォームに
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手数料
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集客料
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広告宣伝料
などの名目で料金を払うことになります。
サービスへの送客や信用力の審査を依頼しているので、これは仕方ありません。
なので「種類その1」の、個人の信用スコアを決めている側としては
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信用スコアと連携しているサービスを増加させて
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信用スコアと連携するサービスにユーザーを送客する
などによって収益を出すことができます。
種類その3. 自社で信用力のスコア化とサービスを提供するサービス
金融業界で多いのが、
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種類その1. 信用力を信用スコアとして可視化するサービス
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種類その2. 信用情報や信用スコアを活用できるサービス
このような種類その1と2を組み合わせたサービスを自社で顧客に提供している企業です。
自分たちで個人の信用力を測定するデータを持つので、より利便性の高いサービスをユーザーには提供することができます。
また、サービスの利用状況をみながら信用スコアスコアリングのアルゴリズムなどを随時調整できるという強みもあります。
種類その4. 個人に代わって信用力を保証してくれるサービス
CtoCやBtoCなど、何かしらの取引が発生するサービスでは、相手のことを信用することが大前提となります。
しかし、情報が乏しかくて満足に審査ができなかったり、審査するノウハウが無い場合は信用力を肩代わりしてくれるサービスを使うことになります。
このようなサービスで、おそらく最も利用頻度が高いのが賃貸契約時の保証会社です。
賃貸契約において、保証会社が信用力を肩代わりしてくれるので様々な物件と契約ができるようになります。
そして、個人は信用力を肩代わりしてもらったお礼として保証会社に保証料を支払うことになります。
なぜCredit Techの普及が期待されているのか
Credit Techはおもにビジネスの世界で注目されているジャンルです。
では、なぜCredit Techは注目を集めているのでしょうか。
これには現実的な理由があります。
信用することのリスクを避けたい
個人でも法人(会社)でも、なんらかの取引を行うとき、相手を信用できるかどうかを慎重に判断します。
もし誰にでも公平に対応していたら騙されたりして、経済的や心理的な損失を受ける可能性が高いからです。
しかし、
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判断材料として使える相手のデータが少ない
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経験不足などにより自分に相手を判断する力が不足している
などの理由により、その人の信頼性などを判断するのはとても難しいです。
それに、判断する担当者の体調や主観によって判断基準が変わり、高い精度を期待できません。
この点Credit Techのサービスを使えば
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ビッグデータ
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人工知能
という組み合わせて、大量のデータをもとに、人工知能が客観的にその人の信用力を判断してくれます。
そして、人工知能は膨大なデータを日々分析しながら同時に学習することも可能なので、判断の精度を高くすることができます。
よってCredit Techのサービスを使うことにより、信用リスクを下げる効果が期待できます。
信用コストをできるだけ下げたい
金融でも何でもそうなのですが、世の中のサービスは
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悪質な利用者
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不真面目な利用者
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詐欺や万引きなどの犯罪
などのごくごく一部の人への対策をとっており、その対策のためにサービスの料金が高くなったり、サービス設計自体に無駄だったり余計なものが入ったりします。
これらは「信用コスト」と呼ばれます。
この点で、あらかじめ相手の信用力がわかっていれば信用力が比較的高い人だけにサービスを展開し、信用コストを下げることができます。
つまり、一定の信用力がある人だけに限定してサービスを作れば、利用者からしたら
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サービスの料金が安くなる
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登録の手間などが省ける
などのメリットがあり、サービスを提供する側からしても
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無駄な費用が減る
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適切な料金でサービスを提供できる
などのメリットがあるのです。
Credit Techの普及により利用者の生活はどうなるか
Credit Techが普及すると、利用者の生活にも変化が起きます。
もちろんCredit Techと関係のないサービスを使い、自分の信用力を測定されることを避けることも可能ですが、高い信用スコアを得ることには様々なメリットがあります。
なので、Credit Techが社会に普及すればおのずと自分の信用力を意識するようになるはずです。
具体的にはどんな変化が起きそうなのかをいくつかピックアップします。
自分のパーソナルデータに注意するようになる
誰でもLINEやメルカリを使っているように、若い人であれば誰でも自分の信用スコアを知っているような時代が来たとします。
そうなると、人は自分のパーソナルデータに注意するようになります。
具体例を挙げると
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SNSで信用スコアが下がるような言動をしていないか
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クレジットカードなどの決済で遅延等が発生していないか
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ネット上に自分の悪い口コミが投稿されていないか
などです。
つまりネットをふくめ、データとして記録できる場所に自分への悪い評価につながる内容が記録されてないかを気にするようになります。
信用スコアを上げるように努力するようになる
信用スコアはざっくり表現すると
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道徳的
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倫理的
などと呼ばれるような言動をし、それらの証明となるデータがあれば高くなる傾向があります。
他にも
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能力
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人柄
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目標に向かって努力しているか
などもあわせて総合的に判断されます。
信用スコアが高いとお金などの面で直接的なメリットがあるので、信用スコアが高くなるような行動を利用者が取ることが期待できます。
学歴や職歴と並んで信用スコアを競うようになる
人はどうしても他人と自分を比較してしまいます。
かつては
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所有する車
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所有するクレジットカード
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腕につけている時計
などで優劣を競う時代もありました。
今でも
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年収
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在籍する企業の知名度
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最終学歴
などの基準が他者と比較する材料として使われているはずです。
もし信用スコアが普及すれば、これらに加えて信用スコアの数字を競うような時代が来ると思います。
そして、定期的に上限する信用スコアの数値に人々は一喜一憂します。
まるでSF小説のような世界ですが、このような状況はすでに日本のお隣の中国で起きていることです。
Credit Techの代表的なサービス – 海外編
ここからはCredit Techの代表的なサービスを簡単に紹介していきたいと思います。
日本と比較すると中国や欧米の方が進んでいる感がありますので、海外で流行しているサービスは類似サービスが日本でも普及する可能性があります。
中国の芝麻信用
世界中でもっともCredit Techが普及しているのが中国です。
中国には
「芝麻信用」
という個人の信用力をスコアリングするサービスがあり、すでに数億人が利用しています。
利用者が多いだけでなく、信用スコアを算出するためのデータも膨大で
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裁判や犯罪のデータ
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シェアリングエコノミーの利用状況
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決済アプリの利用状況
などを使い個人の信用力を測定しています。
https://pecu-nia.com/zhima-xinyong/
Credit Techの代表的なサービス – 日本編
日本は海外と比較してクレジットテックの普及が遅れています。
しかし、海外での大成功をみて日本の企業もクレジットテックへの強い関心を示しています。
2019年8月現在ではまだほとんどの会社がサービス準備中ですが、クレジットテックへの参入を公表している会社を紹介します。
LINEの信用スコア「LINEスコア」
LINEは信用スコア「LINEスコア」を2019年7月から開始しました。
2019年の夏頃には信用スコアを使った融資サービスも開始する予定です。
融資サービスでは、信用スコアが高ければ良い条件で融資をしてもらえるようです。
NTTドコモの「ドコモスコアリング」
携帯会社大手のNTTドコモは自社の携帯端末と契約をしているユーザー向けに
「ドコモスコアリング」
という信用スコアサービスを開始することを発表しました。
ただ、利用者は自分の数値が確認できないタイプの信用スコアなので、どちらかというと外部企業向けかもしれません。
クレジットテックはフィンテックのように普及するのか?
「〜テック」という言葉は流行語のように使われ、社会に定着できずにすぐに消えていきます。
クレジットテックも結果としてすぐに無くなってしまうかもしれません。
クレジットテックが普及するかどうかは信用スコアが成功するかどうかにかかっています。
もし信用スコアの普及について興味がある方は下記のリンク先をご確認ください。