このページの記事はアメリカのベビーシッターのシェアリングサービス「urbansitter(アーバンシッター)」を参考にしながら
-
シェアリングエコノミーやオンデマンドエコノミーではどのような仕組みで依頼者と受託者の信頼関係を維持するのかを知りたい
-
オンデマンドのシッターサービスに興味がある
-
アメリカのシッターサービスに興味がある
以上に該当する方に向けてシェアリングエコノミーでの評価システムについて再確認したり、相互評価の仕組みを理解したりできる記事です。
このページの目次
urbansitterのようなシッターサービスは信頼性のチェックや相互評価が重要
urbansitter(アーバンシッター)はアメリカで競争が激しいシッターサービスの中でもかなり人気の高いサービスです。
日本でもシッターサービスの需要は高いですが、子供を見てもらうのに不安を感じる人が多いせいかアメリカほど一般的にはなっていません。
urbansitterの基本的なデータは下記となります。
-
サイトURL:https://www.urbansitter.com/
-
運営会社:UrbanSitter Inc.(アメリカ企業で日本語版はありません)
-
サービス開始時期:2010年12月
-
仲介する内容:ベビーシッターのスキルと時間
-
仲介対象:ベビーシッターのバイトをしたい人とベビーシッターに子供を預けたい両親
-
料金:月額14.95ドル+シッターへ払う時給
urbansitterは2017年7月現在は日本語に対応していませんが、自分の子供という親にとってはこれ以上無い大切な存在を安心して預けられるサービス設計はシェアリングエコノミーやオンデマンドエコノミーでもっとも重要な
「どのような仕組みで信頼性・安全性を維持するか」
という点でとても気になるサービスです。
この、どのような仕組みで信頼性を維持して安心してサービスを使えるようにしているかに注目して、機能をピックアップしてみました。
urbansitter(アーバンシッター)とは
urbansitter(アーバンシッター)はアメリカのUrbanSitter Inc.が運営するWEBサービスで、オンデマンド型で
-
ベビーシッターとしてパートタイム・アルバイトで働きたい女性
-
外出等で子供の世話をベビーシッターに任せたい両親
この2者を仲介するマッチングサイトです。
経験豊富なベビーシッターを社会全体でシェアするシェアリングエコノミーサービスとも言えます。
日本でもサービスの設計は異なりますがAsMama(アズママ)という子育てシェアサービスが注目されているように、働く女性が増えている昨今urbansitterのようなサービスの需要はとても高いです。
ソーシャルグラフを活用するためFacebookかLinkedInアカウントが必須
Babysitters(ベビーシッター)・Nannies(乳母・ばあや)として登録したい人も、ベビーシッターを雇いたい両親もFacebookかLinkedinのアカウントが必須です。
これは、urbansitter内で両親に対しておすすめのベビーシッターを表示するときにソーシャルグラフ(ウェブ内での人物相関図)のデータを活用するからです。
今も昔も人は何もつながりが無い他人に子供を預けるのには強い不安を感じます。
しかし、
-
お隣さん・ご近所さん
-
現実世界での友達
-
子供が同じ学校や幼稚園・保育園に通っている保護者
-
共通の知人が多い他人
など、なにかしらのつながりがある人に対しては赤の他人と比べて信頼感を感じることができます。
urbansitterではベビーシッターをおすすめする際にソーシャルグラフの関連性をアルゴリズムに使用していますので、SNSアカウントは必須となります。
なので全く関係が無い他人からの友達申請を許可しているSNSアカウントなどはログインに使用しない方が安全です。
女性の場合は特に多いと思いますが、知らない男性からの友達リクエストを許可している場合、その男性はただのナンパ目的でFacebookを利用しているだけなのでより厳密に友達リクエストは精査した方が良さそうです。
動画やシッターとしての経験など、プロフィールは項目数が多い
urbansitterでは登録しているシッターのプロフィールの項目がとても多いです。
写真登録が必須なのは当たり前ですが、任意で動画を使ってのアピールもできます。
評価の高いシッターのほとんどが動画をプロフィールに登録していることから、写真のような静止画より動画で声のトーンや表情の動きを伝えた方が子供の保護者からの信頼が高くなることがわかります。
プロフィールの項目一覧にしてまとめます。
-
自分の写真・動画(動画は任意)
-
ベビーシッターとしての経験年数
-
病気や障害を持っている子供を世話した経験の有無
-
料金(世話する人数によって料金が変動)
-
年齢
-
英語の語学レベルと英語以外の言語の語学レベル
-
保持している資格や受講した研修の情報
-
どの地域で働けるか
-
対応可能な家事
-
対応可能な環境(深夜対応等)
-
面接可能な日時
これらはすべてシッターが自己申告制で記入します。
ベビーシッターとしての経験は子供の年齢によって分けられており
-
infants(under 1 year old):幼児(1歳未満)
-
toddlers(1-3 years old):歩き始めの子供(1歳から3歳)
-
school age(4+ years old):就学年齢の子供(4歳以上)
このように1歳未満から4歳以上まで、どの年齢の子供のベビーシッティング経験がどれくらいあるのか簡単にわかるようになっています。
病気や障害を持っている子供の世話の経験については、ピンポイントで喘息・ADHD(注意欠陥・多動性障害)などを持つ子供の経験の有無が書かれています。
時給に関しては18〜20ドル前後が相場のようですが、人気のあるシッターさんだったり、イベントなどが多くベビーシッターの需要が高い時期は料金が値上げされるようです。
特に年末年始はシッターの繁忙期のようで、料金が倍以上になることも珍しくないそうです。
運営側が審査・公開しているシッター情報や参考になる係数
運営会社は保護者がシッター選びで参考にするであろう情報や、過去の利用者によるレビュー等を公開しています。
こちらも項目でまとめます。
-
リピートでシッターを依頼した家族の数
-
質問や予約などに対する返信の早さ(時間で表示)
-
クレジットカード決済に対応しているか
-
バックグラウンドチェック(犯罪歴の有無や学歴詐称、学校の成績に偽りが無いか)
犯罪歴等が無いかをチェックしているのはさすがアメリカという感じですね。
ただ何と言ってもたくさんの家族にリピートでシッターをお願いされている人は、それだけサービスに満足する家族が多いということで信頼度が高まります。
返信の早さも重要な要素のようで、人気のあるシッターさんは返信のスピードがかなり早いです。
スマホなどから返信ができるということもありますが、人気のある人はだいたいが1時間以内か4時間以内で、遅い人でも24時間以内です。
カスタマー(利用者)によるレビュー・評価
AirbnbやUberのように利用者がサービス提供者(この場合はシッターさん)を評価・レビューする仕組みもあります。
評価はAmazonのように星の数を1個〜5個の中から選択し、さらには文章でも評価をすることができます(文章は任意)。
urbansitterの場合は利用者もほぼ顔写真付きで利用しており、シッターさんにレビューをつけた時は利用者の写真や過去の利用状況なども公開されており、レビューをつけられる側とレビューするレビュアー側の関係性が確認可能です。
よって匿名でありがちな適当であったり噓偽りのある荒れた評価はされにくい仕組みになっています。
評価の低いシッターさんのレビューはそんなにあれず、レビューされなかったりリピーターが少なくなるだけです。
これによってシッターも利用者の過去のレビューを見れるので一方的な関係ではなく、お互いを相互に評価できる対等に近い関係になります。
ちなみに、利用者情報として掲載される内容は
-
いつurbansitterに登録したか
-
クレジットカードは所有しているか
-
累計何人のシッターに依頼したか
-
累計何人のシッターにリピートで依頼したか
-
利用者がおすすめするシッターさん
などの情報です。
メッセージでの質問やインタビュー(面接)で最終決定
urbansitterに登録しているシッターにはメッセージで質問したり面接することができます。
メッセージはテキストで質問事項を送るだけですが、面接はSkypeなどでなく実際に会うことができます。
種類はいくつか用意されており
-
15分から45分程度の音声通話
-
自宅や都合の良い場所で実際に対面しての面談(料金が発生することもある)
-
シッターの仕事をトライアル的に依頼して、自分の子供とどのように接するかを眼の前でチェック(料金がかかります)
この中から選択可能です。
やはり実際に自分の子供とどのように接するかをチェックできるのは大きく、子供のリアクションも見ながら判断可能です。
さすがに判断材料が充実している
アメリカで人気のサービスだけありurbansitterはシッターの情報量が豊富です。
情報が豊富なだけでなく、
-
他者からの評価もチェックできる
-
実際に会って判断することができる
というのも大きな判断材料になります。
プロフィールを見てシッターの経歴と雰囲気を知り、他の保護者からリピートされているかと評価をチェックした上で最後に実際に会えばそれほど人物を見間違えることが無さそうです。
他にも同じグループ(学校や職場)の仲間・知り合いからおすすめされているもわかることから、urbansitterがいかに信頼性・透明性の維持に腐心しているのかがわかります。
FacebookやTwitterアカウントでの注意事項まとめ
シェアリングエコノミーではSNSアカウントを使ってログインすることが主流のため、自分のSNSアカウントは管理やブランディングが必要となります。
基本的な姿勢として現実世界での自分と同じような人格や発言を維持することが大事で、ネットだからと現実と乖離しているような言動をしたら仕事を請け負う際にマイナスになる可能性があります。
基本的な注意事項をまとめます。
-
プライベートを公開しすぎない
-
現実世界と同様の言動をする
-
他者の誹謗中傷は慎む
-
政治や宗教に関わる投稿は控える
-
全くつながりや接点が無い人からの友達申請は断る(facebook)
クライアント(仕事の依頼者)がSNSアカウントを見て仕事を依頼するかどうかをチェックする時代は近いように思いますので、それぞれSNSの扱いは注意してください。
SNSでなくブロックチェーンが評価システムとして利用される可能性も
SNSを使った評価システムは完璧ではありません。
本来であれば金融のように信用情報機関を作る必要があるくらい重要なものですが、今は暫定的にSNSを使ったりしているのでしょう。
将来的にはブロックチェーンを使ったり、他の手法が採用される可能性がとても高いように感じます。
なので本人確認や過去の評価等が現在の仕組みとはまったく違う手法でチェックされる、そんな時代がくるのではないでしょうか。