Lemonade(レモネード)とは?P2P保険の仕組み

保険版フィンテックを意味する「Insurtech(インシュアテック)」という言葉は日本ではフィンテックほどは使われていません。

これは日本にはInsurtech企業と呼べるような会社が少ないからかもしれません。

アメリカではInsurtechの代表的な企業として

Lemonade(レモネード)

が注目されています。

日本でもあのソフトバンクがLemonadeに対して1億2,000万ドル(約135億円)の出資をしたことで話題になりました。

この出資によってLemonadeの日本への参入の可能性も出てきていますので、この記事ではLemonadeについて説明したいと思います。

・Lemonade英語版

https://www.lemonade.com/

Lemonade(レモネード)

Insurtech(保険テック)のLemonadeはどんな会社?

Lemonadeは2015年4月にシャイ・ウィニガーとダニエル・シュライバーよって創業された保険会社です。

保険業界は加入者にとって不透明な業界だと言われ続けていますが、Lemonadeは仕組みの透明化や簡素化に取り組み、さらには

  • AI(人工知能)の活用

  • チャットボットによる無人化と応対の高速化

  • 行動経済学の理論を保険の仕組みに導入

などを行い、保険に初めて加入する若い世代から支持されています。

日本を含む海外展開はまだ

2018年8月現在ではLemonadeはアメリカの限られた州でしかサービスを展開していません。

よって日本でもサービス展開はまだです。

しかし、ソフトバンクを含む世界中の様々な企業から出資を受けているので世界展開が期待されています。

Lemonadeの仕組み

Lemonadeの仕組みを解説していきます。

仕組みとしてはシンプルですが、最新テクノロジーや行動経済学の理論の活用などが目立ちます。

AIやチャットボットは様々な企業で導入されていますが、行動経済学に基づいたサービスの仕組みは珍しいです。

Lemonadeに注目が集まると行動経済学など、学問的な知見をビジネスに活用する企業がどんどん増えそうですね。

家具や家電などの家財を対象とした保険

Lemonadeは

  • 持ち家に住んでいる人

  • 賃貸物件に住んでいる人

などに向けた家財保険を提供しています。

気に入っている家具や家電があったら、スマホのカメラから撮影して

  1. 住所

  2. 家のタイプ(賃貸・持ち家)

などを入力するだけで簡単に保険への加入ができます。

保険料についてもスマホですぐ確認可能です。

やりとりに関してはチャットボットですべて行い、もし家財を壊した場合もスマホで写真撮影してチャットボットに送信します[1]ちなみにチャットボットには「Maya」という名前がついています。

なので、保険の加入から保険金の請求まで、すべてがスマホで完結します。

同じ寄付先で友達グループを作るP2P保険

Lemonadeで保険に加入するとき、加入者は請求されなかったぶんの保険金の寄付先も同時に選択します。

そして、寄付の対象先が同じlemonadeの会員と友達グループを作ることになります。

この友達グループで保険料を集め、もし請求があったときはこの中からお金を支払う仕組みです。

もし同じ友達グループの加入者が料金の請求を1年間行わなければ、支払われなかったぶんの保険料は寄付されます。

このような社会貢献の仕組みが若者の間でウケているようです。

このように友達や知り合い、時には全く面識がない人とグループを組み、保険加入者どうしがお互いに影響を与える仕組みの保険は

「P2P保険(ぴーつーぴーほけん)」

と呼ばれています。

P2P保険に加入している人は保険金詐欺を心理的にしづらくなるので、保険会社にとっても頭痛の種が減ることになります。

寄付により保険会社への信頼性も高まる

寄付の仕組みにより、保険会社にとっても支払いを拒否しようとする心理的バイアスがなくなります。

保険会社にとっても顧客からの請求は営業利益のマイナスを意味します。

なので、保険会社の担当者は潜在的には請求を拒否したいという心理になりがちです。

ですが、寄付の仕組みを導入することで保険会社にあるこのような心理的バイアスを無くすことができるのです。

よって、適切に状況を判断でき、保険会社としてあるべき行動をできるようになるとされています。

Lemonadeの収益は保険料の20%

Lemonade側の収益は一律で保険料の20%となっています。

このように収益を公開することで保険の仕組みが透明化され、顧客からの信頼度が高まります。

さらに手数料を一律にすることで、保険会社も顧客に良い保険を提供して加入者を増やす方向にモチベーションを向けることができるという効果もあります。[2]保険会社によっては手数料を非公開にして、自社の手数料率が高い商品を積極的に販売するなどのバイアスがかかっていると言われています。

P2P保険は日本でも普及するか?

P2P保険という言葉にすると何やら先進的な感じがします。

しかし、中身を見ると本来の保険のあり方に沿った保険らしい保険ということがわかります。

日本でもjustInCase(ジャストインケース)という会社が2018年3月にスマホの画面割れに特化したP2P保険をはじめました。

これをきっかけに日本でも若者を中心にP2P保険が流行るかもしれません。

株式会社justInCaseがスマホ端末向けの保険「スマホ保険」を発表しました。概要をまとめます。

脚注・引用

脚注・引用
1 ちなみにチャットボットには「Maya」という名前がついています。
2 保険会社によっては手数料を非公開にして、自社の手数料率が高い商品を積極的に販売するなどのバイアスがかかっていると言われています。