2018年の後半くらいから
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情報銀行
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信用スコア
このふたつのあまり聞きなれない言葉がテレビや新聞で取り上げられることが増えました。
情報銀行と信用スコア、どちらも
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個人情報
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パーソナルデータ
などを収集しそれを活用する、世界的にみてもかなり新しいサービスです。
個人にひもづくパーソナルデータを扱うという点で、情報銀行と信用スコアは似ています。
しかし、サービスとしての両者は異なります。
この記事では似ているこの二つのサービスについて、共通点や違いを解説します。
ただ、どちらも2019年から続々と登場する新しいサービスです。
なのでサービスの進化や事業者の展開によってどんどん変化するはずです。
このことを理解した上で読んでください。
このページの目次
情報銀行と信用スコアどちらもパーソナルデータをあつかう
まず、情報銀行と信用スコアのサービス内容を見ると、どちらも個人にひもづいた情報、パーソナルデータが基盤になるビジネスだということがわかります。
これがまず大きな共通点です。
これまでも個人情報を活用するビジネスモデルとしては
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ポイントカード
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カタログ通販
などの事業が存在していましたが、これらは個人情報を活用するビジネスモデルです。
情報銀行や信用スコアのように個人情報を素材・起点とし、ビジネスを拡大させる事業形態はあまり見当たりません。
パーソナルデータの扱い方に信用スコアと情報銀行は違いがあり、それぞれを簡単に解説します。
情報銀行は個人がパーソナルデータを信託する仕組み
情報銀行はパーソナルデータの銀行版です。
古くからある普通の銀行は法人・個人からお金を預かり(信託され)、それを安全に保管しながら運用するビジネスです。
これが情報銀行になると、お金でなくパーソナルデータを顧客(つまり利用者)から信託され、安全に運用をします。
つまり銀行におけるお金がパーソナルデータに代わるということです。
信託されたパーソナルデータは情報銀行によって運用され、ときには
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ポイント
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お金
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顧客向けにパーソナライズ(個別化)されたサービス
などの形式でリターンが返ってきます。
この点もお金を預けた対価として利子が発生する銀行と似ています。
情報銀行のメリットについて知りたい方は下記のリンク先でくわしく確認してください。
信用スコアではパーソナルデータがスコア作成の材料になる
個人の信用力を可視化する信用スコアはパーソナルデータを分析することによって作成されます。
そして、利用者は信用スコアをさまざまなサービスで活用することができます。
情報銀行ではパーソナルデータが価値を生みますが、信用スコアではパーソナルデータをもとに作成された信用スコアが価値を持ちます。
情報銀行ではパーソナルデータが直接的に価値をもち、信用スコアでは間接的に価値を持つ、ということでもあります。
業務内容や機能・役割の違い
情報銀行と信用スコアの業務内容や役割についても整理します。
両者の機能としては
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情報銀行はパーソナルデータの保管と運用
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信用スコアはスコアの作成と提携サービスの拡大
などが基本となります。
情報銀行の機能
情報銀行の機能について簡単に説明すると、情報銀行の機能としては
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顧客から信託されたパーソナルデータの保管
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パーソナルデータの運用
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パーソナルデータを提供先となる外部企業の審査
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外部企業へのパーソナルデータの提供
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(提供したパーソナルデータに対しての)報酬の管理
などが挙げられます。
信用スコアの機能
信用スコアの機能を整理すると
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(同意のもとでの)パーソナルデータの収集
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(同意のもとでの)収集したデータを分析して信用スコアの作成
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定期的に行う信用スコアの更新
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信用スコアを連携する外部サービスの選定
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パーソナルデータの収集源となる外部サービスの選定
などが挙げられます。
事業の許認可や免許について
日本でも銀行など、省庁から許認可が必要な事業があります。
情報銀行や信用スコアなどの新規サービスは許認可が必要なのでしょうか。
このあたりについて、2019年8月の時点での状況を比較します。
情報銀行は必要ではないけど審査・認定はある
情報銀行には一般社団法人日本IT団体連盟による審査・認定の制度があります。
ただ、2019年現在では情報銀行を運営するにあたって団体による審査・認定が必須という訳ではありません。
なので情報銀行を運営している、もしくは運営を予定している会社が日本IT団体連盟による認定を取るかどうかは各社の任意となります。
パーソナルデータを信託先となる情報銀行を利用する人にとって、審査や認定の仕組みは本来とてもありがたいものです。
しかし、じっさいの利用者が審査や認定の有無を気にするかどうかは未知数です。
利用者にとっては、結局は審査や認定に合格しているかどうかよりも
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知っている会社かどうか
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友達や家族が使っているかどうか
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テレビCMが流されているか
などが優先される可能性が高いようにも思えます。
信用スコアには認可や免許の仕組みはない
信用スコアについて言うと、信用スコアのような個人の信用力の可視化・格付け事業において
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審査
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許可・認定
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免許
などの仕組みは2019年8月現在はありません。
日本で、信用スコア事業を開始しようとしている会社のほとんどは中国の芝麻信用を参考にしていると思います。
芝麻信用は、中国の中央銀行である中国人民銀行によって認定されています。
日本政府も個人の信用格付け事業がはじまることは認識しているようなので、将来的には何かしらの認定の仕組みが導入される可能性は高そうです。
https://pecu-nia.com/zhima-xinyong/
収集するデータの違い
情報銀行と信用スコアは、大きなくくりではどちらもデータビジネスに該当します。
なので、どちらもビジネスの中心にデータが存在します。
よってパーソナルデータを広く収集するのですが、収集するデータに違いはあるのでしょうか。
信用スコアは信用力の分析に使えるデータを収集
信用スコアは個人の信用力を分析した結果の記号(数値)です。
そもそも信用力は個人の
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能力
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人格
などの情報を多面的に分析して判断されます。
なので、たくさんの情報が分析に使われるのですが、ポイントとして信用スコアでは
「個人の信用力の分析に使えるデータ」
を収集する点が挙げられます。
いっけん関係なさそうなデータも、すべては信用力の分析に使えるのです。
信用スコアではデータを収集・利用する目的が「個人の信用力の分析」ということを覚えておきましょう。
情報銀行は企業等が利用できるデータを収集
信用スコアが個人の信用力分析のためにデータを集めるのに対して、情報銀行はどちらかというと企業等が経済活動の活用できるデータを収集します。
ここが両者の大きな違いです。
信用スコアは個人の信用力を数値化し、信用力を活用できる分野で利用されます。
対して、情報銀行は企業が活用できるデータかどうかが重要視されます。
つまり、情報銀行が取り扱うデータの方がより広範囲に渡る可能性が高くなります。
例えば情報銀行なら
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GPSデータ
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健康系データ
などのデータが価値を持つ可能性があります。
しかし、これらのデータは信用力の分析という観点からはあまり役に立ちそうもありません。
よって信用スコアでは収集されない可能性が高くなります。
情報銀行のいち機能としての信用スコアも考えられる
ここまで情報銀行と信用スコアに違いを整理してみました。
情報銀行と信用スコアはどちらもパーソナルデータを扱いますが、やはり違いはあります。
ただ、情報銀行の方が企業向けということもあり、多岐にわたるデータを収集・活用できそうです。
なので情報銀行が収集するデータの中に信用スコアの分析に使えそうなデータもあるはずです。
ということは、信用力の分析に使えるデータが情報銀行の中にも蓄積される、ということです。
このような状況なので情報銀行がそのサービスのひとつとして信用スコアをはじめても特に不思議ではありません。