以前からマーケティングなどにおいてデータは重要視されていました。
けれど、日本ではどちらかというとデータよりもその世界の熟練者の経験や直感を大事にする風潮があるように感じます[1]脳科学的には直感は過去の記憶、つまり蓄積されたデータから導かれているという説もあります。)。
このような風潮は変わるかもしれません。
昨今のデータのデジタル化と分析のAI(人工知能)化によってデータは以前より高い価値を持つつあります。
「データは新しい石油だ」
という言葉があるくらいです。
この流れが進み、データが高い価値を持つとデートを何よりも重要視する「データ社会」が到来する可能性があります。
しかしデータは万能ではないし、メリットばかりではなくデメリットもあります。
ここで紹介する
「データ・スティグマタ(Data Stigmata)」
などはデメリットというか、データ社会の負の一面を表しています。
このページの目次
データ・スティグマタ(Data Stigmata)とは
スティグマタ(Stigmata)は「聖痕」という意味ですが、「(個人にとって重要な意味を持つ)傷跡」とも訳されます。
データ・スティグマタは
「個人にとって重要な意味を持つデータ(ネット)内の傷跡」
という意味です。
具体的にはどんなものがデータ・スティグマタと呼ばれるのでしょうか。
データが個人にとってスティグマタとなってしまう背景もあわせて説明します。
炎上やリベンジポルノはデータ・スティグマタとして残る
データスティグマタになりやすいのは、
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ネットで話題になりやすいデータ
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ネットで拡散されやすいデータ
などのデータです。
文章・写真(画像)・動画、デジタルデータなら何でもデータスティグマタになる可能性はあります。
具体的には
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SNSでの炎上
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リベンジポルノ
などで拡散したデータはインターネット空間のなかでコピーと拡散を続けることになります。
個人が法的手段などをもちいてデータの削除の奔走しようと、完全にデータを消去するのは困難です。
では、なぜこれらのデータは個人にとって傷(スティグマタ)になるのでしょうか。
データがスティグマタ(傷)になる背景
データの活用はあらゆる分野ですすんでおり、金融や医療さらには教育などでもデータ化・デジタル化は進行しています。
就職活動などでは古くから「学歴フィルター」というデータ(どの高校・大学を卒業しているかのデータ)を使った志望者の振り分け方法があります。
就活も含めた商業面でのデータ活用では、データは
「個人の評価や審査」
で利用されることがあります。
どんなデータを使っているかを公表している企業は少ないですが、おそらく膨大な量のデータを使っていますし、評価・審査アルゴリズムは常に変化しているはずです。
データを使って個人への評価や審査をおこなうので、ネガティブな要素となるデータがあったら自然と評価は下がります。
つまり、何かしらの願望があって応募や審査を受けてもデータスティグマタが原因で目標を達成できないことがあるのです。
データを個人の評価に使うことが増える
人は人を評価します。
これはいつの時代でもどんな社会でも行われてきたことです。
ただ、古い時代では
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外見(服装や髪型)
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話し方や話す内容
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身分(職業)
を参考データとして使っていました。
そして、データをもとに最終的に判断する行為は人間がしてきました。
これからは
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参考データはSNSや検索結果等のネット内のデータになり
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AI(人工知能)がデータを分析して判断
このように変化する可能性があります。
完全には変化しなくても、古いやりかたと新しいやりかたを混ぜ合わせて判断することが普通になるかもしれません。
商業以外の分野でも使われる
おそらくまずは商業的な利用でデータによる評価・審査は進みます。
じっさいすでに
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金融(お金の融資)
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企業の新卒採用
などでデータによる審査は行われています。
商業のジャンルで使われるようになったら、次は個人です。
個人でもSNSやマッチングアプリを使って異性・同性と知り合うのが普通になりました。
安全な人かどうかを判断する基準のひとつがSNSなどのデータです。
まだ個人が相手のSNSを見て人格などを判断しているうちは良いのですが、この流れをビジネスチャンスとして捉えて企業がAIによる個人の評価サービスなどを公開する可能性があります。
これはgoogleが検索エンジンの検索結果を支配しているように、個人への評価を企業が支配する可能性があるということです。
とても怖いことですが、googleが検索エンジンの結果を支配していることが当たり前になっているように、個人への評価を他者に委ねることが当たり前のことになる可能性もじゅうぶんあります。
脚注・引用
↑1 | 脳科学的には直感は過去の記憶、つまり蓄積されたデータから導かれているという説もあります。 |
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