信用スコアが登場するSF小説やアニメの紹介と作品内での信用スコアの仕組みについて

本・書籍で学ぶ信用スコア

個人の信用力をAI(人工知能)によって可視化するサービスは2015年、中国の芝麻信用によって実用化されました。

個人の信用力という可視化が難しいモノを350から950の間で数値化すると聞くと、近未来的な印象を持つ人が多いようです。

それもそのはずで、近未来や今の世界とは別の世界を描くSF小説やアニメには信用スコア的なサービスがたくさん登場しています。

作品の中にはまるでこれからの未来を予言するようなものもあります。

この記事では

  • SF小説

  • アニメ

などから信用スコア的なサービスや思想が登場するものを紹介します。

あわせて、作品内に登場する信用スコア的なサービスの仕組みも簡単に解説します。

優れたSF作品は数十年後の未来を先取りして描写します。

SFには未来を予測するための重要なヒントがたくさんあると語る起業家もいるくらいです。

イギリスの作家ジョージ・オーウェルが代表作

「1984年」

を発表したのは1949年です。

1949年に発表されたSF小説が2017年に

「現代社会が描かれている」

とSNSなどで話題になり、ベストセラーになるなど再評価されました。

これから紹介する作品の中にも、近い将来の世界が描かれているかもしれません。

信用スコア的サービスが登場する本・書籍やアニメ作品

まずは日本の作品の中から信用スコア的なサービスや装置が登場する本・書籍やアニメを紹介します。

本・書籍の中ではジャンルとして、SF小説の中で信用スコアが描かれることが多いです。

SF小説は作者による造語が多かったり、日常とは異なる世界が描かれるので外国語から日本語への翻訳が難しいジャンルです。

そのせいか、SF小説に馴染みがない方にとって海外作品より日本人作家による作品の方が読みやすいと思います。

なのではじめてSF小説を読むという方には日本の作品の方がおすすめです。

海外の作品については日本の作品のあとに紹介します。

信用スコアとはパーソナルデータを使って個人の信用力を分析するサービスのことです。信用スコアの仕組みやメリット、さらには日本でのサービス普及状態などを幅広く解説します。信用スコア初心者はまずこの記事を確認してください。

ディストピア小説「ハーモニー」の社会評価点

「ハーモニー」は伊藤計劃さんが2008年12月に発表したディストピア小説です。

ハーモニーの作品世界では人々は

「WatchMe(ウォッチミー)」

と呼ばれる監視システムのプログラムが体内にインストールされています(すべての人間にインストールされている訳ではない)。

これにより、

  • どこにいるか

  • 何を見ているか

  • 何を食べているか

  • 筋肉や内臓の機能は正常に働いているか

  • 体内に害のあるウィルスなどは侵入していないか

などがシステムによって常時監視されます。

この仕組みにより、人々は病気になることもなく幸福に暮らしています。

すべてが監視された社会の中で、WatchMeがインストールされた人には

社会評価点(ソーシャル・アセスメント)

というスコアが付与され、このスコアは

生府の地域倫理員会(モラル・コンソーシアム)1)生府・地域倫理委員会のどちらも作品内の造語です。もちろん実在しません。

によってスコアリングされています。

社会評価点は信用スコア的なサービスで、

  • 経歴情報(プロフィールデータ)

  • 医療記録(ヘルスデータ)

などのデータを分析することにより、星の数で評価されます。

ハーモニーの世界では拡張現実が普及しており、WatchMeがインストールされていれば街中を歩く人やお店の社会評価点が拡張現実を通じて自分の目から確認ができます。

ハーモニーの世界を信用スコアで例えると、メガネやコンタクトレンズのAR端末を通して

  • 人のプロフィールと信用スコア

  • 食べログやgoogleに投稿されたお店のスコアや口コミ

などがリアルタイムで確認できる世界です。

こんな世界が実現したら信用スコアが低い人やスコアの評価が低いお店の居場所は確実に減るでしょう。

ハーモニーは設定などの舞台装置が興味深いだけでなく小説としての面白さが抜群です。

劇場アニメにもなっているので、小説が苦手だという方にはアニメ版から鑑賞するのもありだと思います。

「ユートロニカのこちら側」の情報等級(アガスティア・ランク)

「ユートロニカのこちら側」は2015年に発売された小川哲さんの短編小説集です。

短編小説集ですが別々の世界が描かれるわけではなく、テーマも統一されています。

作品内にはFacebookをモデルにしたと思われる会社「マイン社」が登場します。

マイン社はサンフランシスコで

「アガスティア・リゾート」

という特区を運営しています。

特区に住めるのは

アガスティア・バンク

というマイン社が運営する情報銀行に個人情報を預け、自分の個人情報を無制限に提供している人だけです。

つまり、住民は視覚データや聴覚データなどの極めてセンシティブな情報も情報銀行に提供することになります。

これではプライバシーはゼロに等しいですね。

新しいデータ流通市場として期待されている情報銀行について、基本的な情報を解説します。あわせて情報銀行にデータを提供することのメリットも解説しますので情報銀行に対して不安を感じている方は参考にしてください。

特区に住む住民はあらゆる個人情報を提供する代わりに働かない権利を得ることができます。

特区に入ることができれば情報を渡す対価として労働から解放されるので、高い倍率にも関わらず入区希望者は後を絶ちません。

特区に入るためには

情報等級(アガスティア・ランク)

という信用スコアのような格付けサービスで高いスコアを獲得しなければなりません。

情報等級を上げるためには位置情報や経歴など、たくさんの情報を情報銀行に預けることが有利に働くとされています。

まとめると、

  • 個人情報を情報銀行に預けて

  • 情報銀行がデータをもとに信用スコアを作成する

  • 情報はたくさん提供すると信用スコアが高くなる可能性が高い

となり、これは信用スコアや情報銀行が社会に浸透するかもしれない2019年以降の世界のようにも思えます。

ユートロニカのこちら側ではアガスティア・リゾートに住んだり関わりを持ち、幸福になる人も不幸になる人も登場します。

この作品の登場人物たちは未来の私たちの姿かもしれません。

情報銀行のデータからAIが犯罪も予測する

ユートロニカのこちら側では情報銀行に預けられたデータを「サーヴァント」と呼ばれる情報管理AIが分析します。

サーヴァントは信用スコアの分析をしますが、それだけでなくデータから犯罪も予測します。

未来の犯罪者候補はAIによってリスト化され、危険度が高い人物は犯罪予防のために特殊警察機関に監視されたり、時には犯罪を犯すまえに逮捕されます。

これは、イギリス警察によって準備されている、犯罪予測のためのスコア

「犯罪スコア」

と似ています2)https://www.gizmodo.jp/2018/11/british-cops-ai-flags-people-for-crimes.html

このように、ユートロニカのこちら側では近い将来どこかの国で実装されそうな未来が描かれています。

2015年に発表された作品ですが、2020年代以降を正確に予言した作品として「1984年」のように将来脚光を浴びる確率は高いと思います。

よって、物語から情報銀行や信用スコアの雰囲気を掴みたいという方にはもっともオススメの作品です。

「PSYCHO-PASS サイコパス」の犯罪係数

「PSYCHO-PASS サイコパス」は2014年7月から放送されたアニメで、劇場版も複数公開されるほどの人気アニメとなっています。

サイコパスは2112年の日本が舞台で、「シビュラシステム」と呼ばれる人物を分析する人工知能が社会に導入されています。

シビュラシステムによって人々はごく一部の例外をのぞいて

犯罪係数(はんざいけいすう)

という「犯罪スコア」もしくは「危険性スコア」とも呼べるような、信用スコアの真逆の数値がスコア化されます。

犯罪係数は低ければ善良な市民としての生活を送れますが、もし犯罪係数が高いことが公安局にバレたら罪を犯してなくても処罰されます。

これはユートロニカのこちら側の犯罪予防システムとも似ています。

サイコパスでは犯罪係数の他にも

色相(しきそう)

という仕組みがあり、これは個人の性格や思想、さらにはメンタルの状態が色で視覚化される仕組みです。

「PSYCHO-PASS サイコパス」ではシビュラシステムによって人々が管理・監視される社会が描かれています。

作品内にはときおり残酷な描写などもありますが、物語として面白いのでSF的な世界が好きな人はまず間違いなく作品を楽しめると思います。

アニメが苦手な方は小説版がありますので、そちらでサイコパスの世界観を楽しんでください。

信用スコアのようなサービスが登場する海外のSFやアニメ作品

ここまで信用スコア的なサービスが登場する日本のSF作品を紹介してきました。

ここからは日本以外の海外の小説やアニメで信用スコアの類似サービスが登場する作品を紹介していきます。

基本的には日本語の翻訳がある作品ばかりですので、書店やamazonでどれも購入できるはずです。

「ブラックミラー」のランク社会

ブラックミラーは小説ではなくイギリスのテレビドラマですが、2016年に制作されたシーズン3の第1話「ランク社会」で信用スコアのようなサービスが登場しています。

ランク社会では、人々はSNSを含む他者からの評価によって0.0〜5.0のスコアでランク分けされています。

他人のスコアはARメガネのような端末をつかって他者の評価を確認することができます。

信用スコアが高ければ

  • 良い不動産物件に入居できる資格を得られたり、賃貸料金が安くなる

  • 飛行機のキャンセル待ちで優先してもらえる

をはじめとして、信用スコアが低い人と比べたらどこに行っても良いサービスが受けられます。

信用スコアは生活全般に影響があるので、人々は自分の信用スコアを上げようと細かな努力を積み重ねています。

ブラックミラーでは信用スコアのアップダウンに振り回される人が描かれています。

ちなみに、ブラックミラーでは信用スコアを上げるために

  • 高く評価されている人を友人に持つ

  • 人にお世辞を言う

  • いいね!をたくさんもらえるような写真をSNSに投稿する

などをするシーンがあり、作品内には信用スコアを上げる方法などをアドバイスするセラピストも登場しています。

ブラックミラーに関してはNetflix(ネットフリックス)でしか視聴ができないようです。

ブラックミラー

監視社会や階級社会はディストピアSFでお馴染みのジャンル

SFのジャンルである

ディストピア(ユートピアの逆の意味)

はSFの中でも大きなジャンルとして確率されており、ディストピア小説からさらに

  • 管理社会

  • 階級社会

  • 監視社会

などにジャンルが枝分かれしています。

信用スコアのようなサービスはおそらくこれらすべてに関連するサービスです。

信用スコアや評価経済に興味がある方ならこれらの小説を読んで様々なヒントを得られるのではないかと思います。

SF小説やアニメを見ることは実現しそうな未来を予測する方法としてはお金もかからず、なおかつ楽しいのでとてもオススメです。

番外編 – ノンフィクションで信用スコアについて知りたい方向けの本

ここまで信用スコア的なサービスが登場するSF小説やアニメなどのフィクションを紹介しました。

ただ、フィクションが苦手でノンフィクションの方が好きという人もいるはずです。

もしノンフィクションの本を通じて信用スコアや監視社会について知りたい方は

などが良いと思います。

とくに慶應義塾大学教授である山本龍彦さんの「おそろしいビッグデータ」は読みやすい上に内容も充実しており特にオススメです。

信用スコアに関しては誇大妄想や与太話のような情報も蔓延しているなか、この本は学者による著作なので、信頼性の面でもオススメできます。

脚注・引用   [ + ]

1. 生府・地域倫理委員会のどちらも作品内の造語です。もちろん実在しません。
2. https://www.gizmodo.jp/2018/11/british-cops-ai-flags-people-for-crimes.html
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする