個人の信用力を分析するにあたって、日本ではその人がどんな会社に在籍しているかを重要視します。
これはBtoC(企業対個人)のことだけでなく、CtoC(個人対個人)でも同じことです。
つまり会社の信用力が個人の信用力にも影響を与えているのです。
副業が解禁されたり、フリーランスの人口が増えてはいますが、在籍する企業が個人の信用力を左右する時代はしばらく続くでしょう。
この記事では会社の信用力がどんな場面で個人に影響を与えるかを説明したあと、じっさい会社の信用力はどのような情報(データ)によって判断されるかを説明したいと思います。
このページの目次
会社の信用力は生活のどんな場面に影響するか
無職でもない限り、在籍する会社の信用力は生活の様々な場面に影響をあたえます。
具体的に会社の信用力がどんなシチュエーションで影響を受けるかを
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CtoC(個人対個人)で起きる影響
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BtoC(企業対個人)で起きる影響
に分けて解説します。
個人間ではシェアリングエコノミーやマッチングアプリなど
個人対個人だと、会社の中身というよりは消費者からの好感度などのイメージ・印象がその人に影響を与えます。
ほんらい会社の信用力は
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知名度
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イメージ
といったあいまいなもの以外の部分で調査されることが多いのですが、個人対個人ではやはり企業イメージが大きな影響を与えます。
影響を受けることが多い状況としては
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シェアリングエコノミー
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マッチングアプリ
などの個人対個人での取引や交渉が発生するサービスを利用している時です。
人は初対面の相手の職業や勤務先を知りたいと思う傾向があります。
もし有名な会社に勤務している人なら会話の流れでその事実を伝えれば相手からの信用力は高くなるはずです。
これは、
イメージが良い会社にいる=良い会社に入れる学歴や能力があり、そこでずっと働いているのなら人柄も信頼できる
と思われることが多いからです。
シェアリングエコノミーもマッチングアプリも、どちらも性格・人柄が利用状況に影響を与えるサービスです。
なので所属する会社の信用力がすべてではありません。
ただ、それでも初対面の相手の信用力を判断するのに在籍する企業は判断材料として使われます。
これは人の出身地や学歴などと同じことで、見知らぬ者同士はお互いの信用力の判断材料にできる情報(データ)が乏しいので、これらのようなわかりやすい情報を参考にするのだと思います。
話をしたり同じ時間をすごしたりして、互いの情報量が増えれば所属企業の信用力が個人の信用力の判断材料として占める割合は自然と減っていきます。
企業は金融や住宅関係の与信審査にフル活用
企業が個人の信用力を審査するときの代表的な例は
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クレジットカード発行の審査
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住宅ローンの審査
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(消費者金融や銀行がする)融資の審査
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賃貸物件の入居審査
などで、これらの場面で個人の信用力を審査することを与信審査と呼びます。
金融関連で個人の信用力を審査するときは個人にひもづく様々な情報を集めます。
その中でも重要視されるのは収入です。
そして、個人の収入はその人が所属する企業が大きな影響を与えます。
これは、副業や株式投資をする人の割合が少ない日本では会社からもらう報酬=年収という人が多いからです。
なのでクレジットカード発行やローンの申し込みがあったときは必ず在籍企業の信用力を確認しているのです。
企業がチェックするポイントは
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倒産するリスクは高いか低いか
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業績は安定して伸びているかどうか
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積極的にリストラなどをしていないか
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将来はどのような業績になりそうか
などです。
与信審査をおこなう担当者やAI(人工知能)は、このあと紹介する様々な情報からこれらを予測しているのです。
このように、所属する企業の信用力は生活の様々なシーンに影響を与えます。
ここからは企業の信用力を分析する上で判断材料になる情報を解説します。
会社の信用力の審査に使われる情報と判断基準
所属する会社の信用力はどのような情報を使って審査されるのでしょうか。
細かいところまでチェックしたらきりがありませんので、会社の信用力を判断する上で代表的な情報というか項目と簡単な判断基準を挙げていきます。
AI(人工知能)などが機械的に会社の信用力をスコアリングしたりする時は膨大な項目の情報を分析して審査しています。
この場合は情報が多すぎて企業のどんな情報を参考にしているかの判断は難しいです。
けれど、個人が自分が入社する予定の企業や取引先を信頼できるかどうかチェックする時などはここから紹介するような限られた項目であるていど判断できると思います。
会社名
会社の名前は信用力というか、イメージに影響します。
よって少なくともBtoCの場面で会社の信用力を判断するときに社名は判断材料になりません。
そもそも会社設立時の登記の際に社名に問題があれば却下されます。
なので日本では公序良俗に反するような名称は株式会社につけることは困難です。
会社が設立されてからの期間
日本では設立された会社の半分以上が設立されてから数年の間に倒産していると言われています。
それくらい企業経営にはリスクがあり、存続することだけでも大変なのです。
よって長期間にわたって経営しているという事実は
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環境の変化に対応できる
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良い取引先に恵まれている
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新規顧客の開拓ができている
などの証明になります。
よって設立期間が長いと信用力も高くなります。
社長の経歴
社長が会社を設立する前に会社員としての働いていた頃の経歴は代表取締役になっている会社に大きく影響を与えます。
信用力という面ではそこまで大きな判断材料になりませんが、方向性や考え方は経歴から推測することができます。
会社や組織の形態
会社の形態には
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有限会社
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合名会社
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合資会社
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合同会社
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株式会社
などがあります。
この中では株式会社が信用力という点では抜けて高くなります[1]株式会社が信用力が高いわけではありません。比較の問題です。。
会社の形態という訳ではありませんが、
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官公庁
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地方公共団体
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NPO
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個人事業主
などの組織形態もあります。
官公庁で働く国家公務員や市役所等で働く地方公務員だと信用力が高くなるのは言うまでもありませんね。
会社の資本金
会社の資本金は特に企業間で取引するときに重要視される項目です。
ただ、会社の業種によって平均的な資本金の額が異なるので、横での比較をした方が判断の精度が上がります。
また、会社の資本金が少なくても有名企業から出資を受けているなどすれば信用力は高くなります。
会社の業種
所属する会社の業種は普通であればそこまで個人の信用力に影響は与えません。
ただ、明らかに右肩下がりの業種や異常に離職率が高い業界であれば信用力に影響が出ることも考えられます。
他だと
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風俗業などの水商売関係
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反社会的勢力に属する会社・団体
などに該当した場合は信用力が下がります。
会社の住所・所在地
会社の住所や所在地は信用力の判定に使えます。
というのも、オフィスの賃貸料はその建物がある場所の土地の値段に大きく左右されるからです。
人気がある地域や有名なビルにオフィスがあれば、その会社は
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オフィスの管理会社がおこなう審査に通過している
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高い賃料を払える財政的な余力がある
ということがわかります。
注意したいのは
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風俗街
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治安が悪い地域
などに会社がある場合で、このような場所に会社があるのはワケありなことが多いです。
ただし、例外として特定の業種の企業が集まる地域などもあるので、このような要素も加えて総合的に判断されます。
会社の社員数
会社の社員数は基本的に多ければ多いほど規模が大きいことを示します。
従業員数が多いということは
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それだけの従業員に対して毎月給料を払えている
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それだけの人数を採用できる採用力がある
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社員が入ってもみんなすぐに辞めたりしていない
などの事実の証明になります。
しかし、ITやネット関連などでは会社の業績規模に対して従業員数が少ないことが多いので業種によって判断基準を変えなくてはなりません。
会社の上場・非上場
非上場と上場企業では当然上場企業の方が信用力が高くなります。
これは
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かなり厳しい条件を満たさないと上場できない
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上場したことによって決算情報が開示される
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上場していれば経営が厳しくなってもサポートが入りやすい
などが理由です。
ただ、非上場企業でも
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帝国データバンクから信用情報を確認できる
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官報から決算情報を確認できる
などであれば決算等の情報が確認できるので、信用力はそこまで低いということではありません。
上場している会社の時価総額
株式を上場している企業に対してのマーケットからの評価は時価総額という形であらわれます。
時価総額は高ければ高いほどその会社の価値が高いことを意味します。
ただし、マーケット自体がバブル期に入っていたり、判断を誤っていることがありますので過信は禁物です。
信用力は総合的に判断されているし判断基準は変化する
ここまで信用力に影響するであろう項目をたくさん挙げました。
これらの項目はひとつだけで判断されることは少なく、様々な項目で総合的に判断されています。
また、
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会社の信用力の審査に使う項目
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どの項目を重要視するか
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その項目における信用力の高低の基準
などは時代によって変化します。
とくにこれからAI(人工知能)が信用力をスコアリング(数値化)するようになった大きな変化がおきるはずです。
AIは膨大なデータの中から、いっけん会社の信用力と関係なさそうな情報だけど実は関係がある情報を発見するかもしれません。
そもそも時代によって信用力の基準も変わります。
だから、もし信用力が高い会社に入りたければ、その会社が今とこれからの時代性とでも呼べるようなものに適しているかどうかを判断基準にする方法もあります。
脚注・引用
↑1 | 株式会社が信用力が高いわけではありません。比較の問題です。 |
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