脳の活動データをビジネスに活用するBrainTech(ブレインテック)とは?

脳のデータ

人の心は脳に宿ると言われています。

けれど、厚い頭蓋骨の中にある脳でどのような活動が行われているかは人の目ではわかりません。

歴史に名を残すような偉人の脳のホルマリン漬けを見ても、一般の人の脳とくらべて違いがあるようには見えません。

脳は不思議というか、とてもミステリアスです。

科学技術が進んだ現在でも、脳の仕組みは解明されていません。

むしろ、脳の秘密はまったく分かっていないと専門家は語ります。

だからなのか、人は脳の仕組みに興味を持つのかもしれません。

じっさい書店でベストセラーをチェックするつ脳科学に関するものが多くみつかります。

人が個人的な関心を持つだけでなく、国や企業も脳の仕組みに興味を持ち、なんとか自分たちの産業に応用できないかと考えています。

そんな中、生まれた言葉が

「BrainTech(ブレインテック)」

です。

倫理的な問題や心理的な抵抗はありますが、既に脳のデータをビジネスに活用する事例は増えています。

BrainTech(ブレインテック)とは?

BrainTech(ブレインテック)とは、

脳(Brain)×テクノロジー(Technology)

を組み合わせた造語です。

いま流行中の

フィンテック(金融を意味する「Finance」と「Technology」の造語)

などのように、

脳科学(神経科学)

の知見とITやネットを組み合わせたビジネスのことをBrainTechと呼びます。

では、なぜいまの時代になって脳が注目されているのでしょうか。

脳にはマーケティングに使える巨大なデータがある

購買などの消費に関わる行動は脳が視界などから受け取った情報から判断していると言われています。

脳が情報を受け取り、その情報に対して脳が好ましいと活動(判断)すれば購買という行動に移ります。

脳の活動は専用の機器を使えば電磁波データとして測定することができます。

活動する部位やパターンにより、人が脳内でどんな感情を持っているかがおおまかにわかるのです。

なので、もし人類全体の脳の活動パターンや傾向を完璧に把握することができたら

  • 絶対に売れる化粧品

  • 絶対にヒットする映画

  • 見た人の80%以上が興味を持つテレビCM

など、脳に響くであろう商品を作ることができるようになります。

アンケートなどの従来のマーケティング方法ではわからなかったようなデータを脳から取得することは商業上さまざまなメリットがあります。

このような、脳のデータを直接使ったマーケティング方法は

「ニューロマーケティング(脳科学)」

と呼ばれています。

脳の活動の情報は「究極の個人情報」と言われている遺伝子の情報と並んで、ビジネスの分野では高い注目を集めています。

脳の電磁波データ

背景にはテクノロジーの進化

脳がビジネス的に注目されるようになった背景には脳の活動を測定する技術の進化があります。

代表的なのは

  • fMRI(機能的磁気共鳴画像法)

  • PET(ポジトロン断層法)

などの検査方法です。

これらの新しい方法で検査することにより、以前より脳の活動が正確に測定できるようになりました。

そして、脳の活動情報を記録するハードディスクもどんどん安くなり、24時間常に活動する膨大な脳のデータの保存が容易になっています1)脳は人が寝ている間も活発に活動しています。

最新の機材を使ったさまざまな研究や検査により、脳の秘密は明かされつつあるのです。

BrainTechの事例

最新の検査機器を使ったBrainTechはどのような産業・分野で活用されているのでしょう。

事例をいくつかピックアップします。

ブレインテック

事例その1. ニューロフィードバック

ニューロフィードバックとは、

  • ある特定の脳の活動をビジュアル的なデータで表現して

  • 自分の脳の活動を把握しながら弱点を強化する

という仕組みで、教育や医療などでの活用が期待されています。

人は自分の脳内がどれくらい活発に動いているか主観でしかわかりません。

けれどニューロフィードバックの手法を使えばビジュアル的に

  • 物事を理解していると思っても実際は理解していなかったことがわかる

  • どんなことをしたら自分がリラックスしているかわかる

などのメリットがあります。

つまり脳の活動データをモニタリングしながらフィードバックし、脳の活動を望ましい方向に導く方法がニューロフィードバックです。

日本では株式会社メディアシークという会社がイスラエルのブレインテック企業「Myndlift Ltd.」と提携し、日本でも展開する予定です。

ニューロフィードバックの事例. Myndlift(マインドリフト)とは?

ニューロフィードバックの詳しい事例としてMyndlift(マインドリフト)について少し説明します。

Myndliftは

  • 専用のウェアラブル端末を使い

  • ニューロフィードバックをできる

というサービスを提供する企業です。

ニューロフィードバックとは脳波をベースに脳の活動を改善させる技術のことです。

おもにADHDなどの治療に使われる技術ですが、PTSDやうつ病など、メンタルヘルスの分野でも活用が進んでいるようです。2)WSJ「脳の筋トレ」ニューロフィードバック うつ病などに有効か

これまでニューロフィードバックは

  • 専門家と一緒に

  • 専用の器具を使って行う

というものでしたが、近年はスマートフォンを活用して自宅でできる簡易的な治療法も増えています。

Myndliftがまさにそうで、Myndliftを使えば

  • 脳波を測定できるヘッドセットを装着して

  • スマホアプリを起動する

このような簡単な手順でADHD(注意欠如多動性障害)の治療を受けることができます。

ゲーム感覚でアプリを習慣的に使うと治療効果が期待できるようです。/p>

Myndliftを利用しての治療の実績なども動画で公開されています。

事例その2. ニューロマーケティング

ニューロマーケティングについては既にふれましたが、補足します。

「ニューロマーケティング」は脳科学で得た知識やデータをマーケティング分野へ活用する手法です。

実は、もうすでに様々な会社でニューロマーケティングは導入されています。

業界の例で挙げると

  • 出版

  • 映像

  • 小売り

などでは、顧客の脳の活動を測定して、新しい商品がどれくらいヒットするかなどの予測に役立てています。

顧客の意識はこれまではアンケートなどで調査していました。

しかし、アンケートに正直に事実を書いてくれるとは限りません。

ときにはアンケートを記入する人が、知らず知らずのうちに自分自身をだまして回答している可能性もあるのです。

周囲の環境や人の反応を気にしたりして、本音を語らないこともあります。

ですが、脳の活動を測定しながらの調査なら顧客の脳内のリアクションがわかります。

脳内の活動をデータとして活用すれば本能に訴えかける、より効果的なマーケティングが可能になる、というわけです。

事例その3. BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)

BMIはBrain Machine Interface(ブレイン・マシン・インターフェース)の略です。

BMIの仕組みは

  1. 専用の装置が脳の電気信号データを読み取り

  2. 機械や装置を動かす

というものです。

つまり人間の手や足などの体を動かさずに、脳が念じた情報を機器が読み取り機械等を動かす仕組みです。

この仕組みを利用すれば身体を使わずに脳から情報を機器に出力ができるようになる、ということです。

BMIには

  • 脳内に機器を埋め込む方法(侵襲性)

  • 頭に機器を装着する方法(非侵襲性)

の2種類がありますが、やはり脳に機器を入れるのは手術などで体に負担があるようです。

心理的にも不安を感じる方は多いと思います。

BMIはとくに医療での活用が期待されていますが、

  • イーロン・マスク

  • Facebook

などの大企業や大物起業家もBMI市場に参入しているので商業的な普及も期待できます。

まるでSFのような技術ですが、2000年くらいから研究が進められていた分野でもあります。

いっけん最新の分野に見えても、実はかなり昔から研究されてたり実用化されていたという技術はよくあります。

最近だと

  • AI(人工知能)

  • AR(拡張現実)

  • VR(仮想現実)

などはかなり昔からありましたが、2010年代になって急に注目されるようになりました。

このようなことがBMIでも起こる可能性は高いのではないかと思います。

BMIの一種「BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)」

BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)という言葉がありますが、これはBMIの一種です。

違いは脳の信号の出力先です。

  • BMIはMachine(機器)

  • BCIはComputer(コンピューター)

ということで、似ていますが違います。

とはいっても、現在のテクノロジーを考えると出力先の機器はほぼコンピューターと言えるものばかりです。

なので、将来的にはBMIとBCIはどちらかの名称に統合されるかもしれません。

脚注・引用   [ + ]

1. 脳は人が寝ている間も活発に活動しています。
2. WSJ「脳の筋トレ」ニューロフィードバック うつ病などに有効か
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