Airbnb(エアビーアンドビー)には信用と信頼が生まれる仕組みが導入されている

信用と信頼

「信用」と「信頼」という言葉があります。

日本で生活しているとどちらもよく使う言葉です。

しかし、両方の意味の違いを正確に表現できる人は少ないと思います。

gooの辞書によると、このふたつの言葉には下記のような違いがあります。

  • 信用:確かなものと信じて受け入れること。それまでの行為・業績などから、信頼できると判断すること。

  • 信頼:信じて頼りにすること。頼りになると信じること。

これだといまいちわかりにくいですが、

  • 信用は能力的なもので、過去のこと

  • 信頼は人柄的なもので、未来のこと

このように表現するとわかりやすいと思います。

いま流行しているシェアリングエコノミーと呼ばれているサービスには多かれ少なかれ

  • 個人の信用と信頼が可視化される仕組み

  • 利用者がお互いに相手を信用・信頼できるようにする仕組み

などが導入されています。

企業が仲介するとはいえ、シェアリングエコノミーのようなCtoC(個人間取引)ではこのような仕組みが必要となります。

この記事ではシェアリングエコノミーの代表格であるAirbnb(エアビーアンドビー)が、個人間での信用と信頼を生むため、さらにはユーザーが安心してサービスを使えるためにどんな仕組みを導入しているかを解説します。

Airbnbは民泊仲介のプラットフォームなので、

  • 知らない人を自宅に泊める人

  • 知らない人の家に宿泊する人

を仲介します。

このような行為は本来とても危険だと感じますし、げんにたくさんの批判を受けています。

時には大きなトラブルも起きていますし、社会的な問題も起こしています。

それなのに、Airbnbは成長を続けています。

他人を家に泊めたり、人が他人に家に安心して寝泊まりできるのにはどのような秘密が隠されているのでしょうか。

ホストとゲストに対して導入されている機能・仕組み

Airbnbでは利用者に対して

  • 自分が管理する場所を人に貸し出す人をホスト(host)

  • 人の家に泊まる人をゲスト(guest)

このような名称をつけています。

この名称にも信用と信頼を生む秘密が隠されていそうですが、呼び方のことは置いておいて、機能や仕組み的な部分でどうやってゲストとホストがお互いを信用・信頼して使えるようになっているかを解説します。

Airbnb

個人のプロフィールのID認証

Airbnbは利用者本人でないと使えません。

利用者が本人であることを確認するために、アカウントのIDに対して

  • メールアドレス

  • 電話番号

  • ソーシャルメディアアカウント(facebook・Google・LinkedIn)

  • 公的な書類(運転免許証・パスポート・健康保険証)

  • 顔がわかる自撮り写真

などの提出を求めています。

IDの認証が終わらないとairbnbの利用はできません。

この仕組みによって他人へのなりすまし等を防いでいます。

認証に使うデータはただ個人を認証するだけでなく、Airbnbでの信用力をスコアリングするのにも使われています1)https://www.sbbit.jp/article/cont1/34059

なので認証につかったSNSなどで信用と信頼を損ねるような言動はしない方が良いです。

また、ウォッチリストといって、反社会的勢力に属していたりテロリストとしてリストに載っているような人はAirbnbを利用できないように定期的に照会しているようです2)https://www.airbnb.jp/trust

個人の信用力のスコアリングサービスとの連携

Airbnbは個人のパーソナルデータによって信用力をスコアリングするサービスと連携し、個人の認証に使っています。

2018年5月現在では中国の「芝麻信用」というサービスとの連携が可能です。

芝麻信用は個人の信用力を350〜950点の間で数値化するサービスです。

日本ではまだ芝麻信用のようなサービスはありませんが、日本でも似たようなサービスが開始した時はID認証での連携が可能になるかもしれません。

芝麻信用を例にすると、芝麻信用は犯罪履歴や裁判履歴もスコアリングのデータに使っているので、この連携によってAirbnbによる個人の信用力スコアリングの精度はかなり高くなりそうです。

中国版クレジットスコアとして広く普及している「芝麻信用」についての概要と仕組みについての情報です。個人の信用力をスコア化するサービスについて初歩的な知識を得たい方におすすめの記事です。

芝麻信用公式サイト

プロフィールの顔写真が必要

Airbnbではホストに対してはプロフィールの顔写真が必要、ゲストも予約のチェックインの前のプロフィール写真登録を期待する、としています。

そのせいか、人気ホストの家に宿泊するゲストのレビューをみてもだいたいみんな顔写真付きです。

ゲストを受け入れるホストもゲストの顔写真がないと会ったときに本人だと認識できませんし、予約を受けるのに不安を感じるでしょう。

ゲストもホストに対して不安を感じさせたくないなら顔写真を登録すべきです。

これにより自分に対しての信頼を高めることができます。

また、ゲストはホストの選択にあたってホストの顔写真で信頼できるかどうか判断しているとも言われています3)https://innovation.mufg.jp/detail/id=158

じっさい人は相手の顔を見て信頼できるかどうかを判断しているという説があるので4)https://gigazine.net/news/20140812-cheekbones-trust-face/、AIrbnbのような個人間での取引があるサービスを使いたいなら写りのよい顔写真を用意して損をすることはないでしょう。

CtoCのサービスは一方的なものではないので、ホストもゲストも相手を拒否する権利があります。

プロフィールの自己紹介文

プロフィールの顔写真だけでなく、自己紹介文もその人の信頼性を判断する上で重要な要素です。

Airbnbでは

「信頼されるプロフィールの必須条件5)https://www.airbnb.jp/help/article/67/why-do-i-need-to-have-an-airbnb-profile-or-profile-photo

として、下記を挙げています。

  • プロフィールの自己紹介は最低でも100文字以上にする

  • Airbnbを利用した動機を入れる

  • 自分の趣味について書く

  • 好きなことや興味があることについて書く

Airbnbは大学などの研究機関と共同で人間同士の信頼に関する研究をしています。

その結果、人は自分と似ている人を信頼する傾向があることがわかっています。

AIrbnbにおいて、その人が自分と似ているかどうかを判断するのにはプロフィールの自己紹介文が判断材料になります。

もしAirbnbをつかっていて思うような結果が出ていないのなら、プロフィールの文章を工夫して、相手から信頼してもらえるようにしましょう。

ちなみに自己紹介を入力するフォームの大きさは、そのサイズで文字を入力すれば自然に信頼が伝わりやすい文章量になるようにデザインされています。

このように、Airbnbは機能面だけでなくデザイン面でも信頼が伝わりやすいように工夫しています6)https://www.ted.com/talks/joe_gebbia_how_airbnb_designs_for_trust?language=en#t-562369

Airbnbの自己紹介文

ホストとゲストによる相互レビューと星評価

Airbnbのホストとゲストは宿泊が完了した後に

  • 文章によるレビュー

  • 1〜5個の星による評価

をお互いにつけることができます。

Airbnbのプロフィールは誰にでも公開されており、レビューと星の評価によってその人が信頼できるかどうかを判断する人も多いです。

さきほどAirbnbは信頼に関する研究をすすめており、人は自分と似ている人を信頼する傾向があることがわかっている、と述べました。

この研究を進めているうちに、他にもわかったことがあります。

それは、

  • 特定の人物への他人からの評価が3件未満では、人は自分と似ている人を信頼する

  • 特定の人物への他人からの評価が10件以上あると、人はその人が自分と似ている似ていないに関係なく信頼できる

ということです。

この事実をAirbnbの共同創業者であるジョー・ゲビア(Joe Gebbia)は

High reputation beats high similarity.

とtedの公演で表現しています。

日本語にすると

「高い評判は類似性を打ち負かす」

のような意味になります。

つまり、レビューや星評価で優れた評判を得ていれば、その人が誰かと似ている似ていないに関係なく評判によって信頼を得ることができる、ということです。

人からの信頼がお金になる時代では、人からの評判が信頼になります。

つまり評判がお金を生むということですね。

メッセージのやりとり

Airbnbではホストとゲスト間でメッセージをやりとりする機能があります。

実は、このやりとりの内容はホストがゲストを受けいれる確率に大きく影響します。

というのも、

  • 挨拶だけしかないなど、メッセージの量が短すぎてもダメ

  • 自分の家族や心身の問題など、メッセージの量が多すぎてもダメ

というデータがあるのです。

情報の量は多すぎず少なすぎずというのが信頼を生むためには適量のようです。

信頼を生むための対策として、Airbnbはメッセージの入力欄を適切なサイズに設定しています。

そして、自分のことをメッセージで書くように促しています。

これらの仕組みによって、ゲストは

  • 適切な量のメッセージをホストに送り

  • ゲストのパーソナリティや旅の目的がホストに伝わる

このような行動をとることになります。

そして、これらの行動の結果としてホストとゲスト間で信頼が生まれます。

ユーザーによる通報の仕組み

Airbnbには通報機能があります。

なので、もしAirbnbを使っていて

  • 問題のあるプロフィールの人物

  • 問題のあるリスティング

  • 公序良俗に反するメッセージ

などと出会ったら通報することができます。

Airbnbによるプラットフォームとして信頼されると仕組み

ここまではAirbnbのユーザーであるホストとゲスト間で信用と信頼を生む仕組みについて紹介していきました。

ここからはAirbnbが信頼できるプラットフォームを維持するためにどんな取り組みをしているかを紹介したいと思います。

Airbnbは個人間での民泊プラットフォームなので、もしそのプラットフォームに魅力がなければみんな直接取引をしてしまうでしょう。

Airbnbはそのようなことが起きないようプラットフォームとして様々な仕組みを導入しています。

連絡・予約・決済の仲介

Airbnbはホストとゲスト間の

  • 連絡(メッセージ)

  • 宿泊予約

  • 料金の支払い(決済)

などをすべて仲介します。

これらはとても便利な機能ですが、機能面だけでなくホストとゲストが安全に使えるようにするためでもあります。

というのも、Airbnbではすべての予約が確定されるまで安全性をチェックしてくれます。

人工知能がメッセージの内容や予約の方法に不審な点が無いかをチェックしているのです。

よってリスクの高そうな予約があったらすぐに対応してくれます。

決済も、Airbnbが宿泊前に決済するのでホストやゲストからするとお金やおつりの準備が不要になりますし、ホストはゲストに会った時の値下げ交渉や不払いのリスクを避けることができます。

最高1億円のホスト保証

Airbnbの予約にはすべてホスト保証がつきます。

ホスト保証は最大1億円なので、もしゲストによる財物破損があっても補償で補うことができます。

ただし

  • 現金および有価証券

  • ペット

  • 対人賠償

  • シェアまたは共用エリア

などは保証対象外となりますので自分で対策する必要があります。

Airbnbのコミュニティサイト「Community Center」を運営

Airbnbはヘルプがかなり充実しているので、ヘルプだけでも解決する問題は多いです。

けれど、民泊に関する法律の変化やユーザーの使い方の変化などは常に起きるので、ホストとゲストは常に変化への対応をせまられます。

困った時に役に立つのがホスト向けのコミュニティサイトです。

https://community.withairbnb.com/

コミュニティでは様々な問題に対してQ&Aでホスト同士がやりとりしています。

何か困ったことがあったらここで調べたり、時に質問すれば解決することも多いと思います。

ホストとゲストのレビューや評価が信用情報になる

すでに説明しましたが、ホストとゲストにはレビューと星評価の仕組みが導入されています。

これらはただAirbnb内の信用と信頼の判断材料だけでなく、将来的には様々なサービスにおいて信用情報として用いられる可能性があります。

Airbnbでわかるのは

  • ゲストがそのリスティングに宿泊可能なお金があるという情報

  • ホストとゲストがAirbnbをトラブルなどを起こすことなく使っているかどうかの情報

などの情報です。

これらの限られた情報でも信用情報として使うことはできます。

なので、もしインターネット上での信用情報データをいまのうちから蓄積したい方はAirbnbをヘビーに使うという手もあります。

デザインと機能で信用と信頼を生む

Airbnbは創業者3人のうち2人がデザイナーです。

そのせいか、機能だけでなくデザインでも信用と信頼を生む仕組みが導入されています。

シェアリングエコノミー時代において信用と信頼はサービスを成立させるためには欠かせません。

ユーザーにとっても信用と信頼を蓄積することは様々なメリットがあるので、いまのうちから意識して利用すると将来良いことが起きる確率が高いように思います。

脚注・引用   [ + ]