食のシェアリングエコノミーアプリが食品ロス(フードロス)や売れ残りを解消

フードシェアリングアプリ

日本では人口減・少子高齢化が進んでいますが世界的には人口が増加しています。

そして、人口増に伴う食糧の需要増加により、食糧不足に陥っている地域はとても多いです。

その反面、日本を含む先進国においては食糧ロスが問題になっており、フードバンクなどの団体の活動がさかんになっています。

日本では646万トン(2015年度)の廃棄が発生しているというから只事ではありません。[1]https://mainichi.jp/articles/20190403/ddm/013/070/002000c

このページでは「食のシェアリングエコノミー」とも呼べる、食品ロスという大きな社会問題に解消するために運営されているアプリを紹介します。

ちなみに食のシェアリングエコノミーは

  • フードシェアリング

  • ミールシェアリング

  • フード・スワップ

など、様々な呼び方がありますが、日本においてはこの呼び方というような呼称は特にありません。

フードロス(食品廃棄)を解決するアプリの種類

まず、食品の廃棄等を予防するアプリの種類をまとめます。

そして、各種類ごとの仕組みの解説と代表的なアプリを紹介していきます。

先にフードロスを予防するアプリの種類を挙げると

  1. 廃棄される予定の食品等を低料金で購入・販売できるアプリ

  2. 食事販売業社(レストラン・スーパーを含む)や個人が余ったモノをフードバンク等に連絡できるアプリ

  3. 作ったご飯のおすそ分けしてくれる相手とされたい相手を探せるアプリ

  4. 調理中に作っている食品ロスの原因を作っている調理方法を指摘してくれるアプリ

  5. 捨てられる予定の食材を活用するアプリ

などがあります。

全体的には

  • 廃棄される予定の食品を有効活用したい人

  • 廃棄される予定の食品を受け取りたい人・安く購入したい人

の両者をつなげるマッチングプラットフォームの役割を担うアプリが多いです。

種類その1. 廃棄される予定の食品等を低料金で購入・販売できるアプリ

スーパーなど、店頭に並ぶ食品は商品なので、ある程度計画やデータにもとづいて仕入れたり調理されます。

しかし、天候の変化や単なる予測ミスなどで予定よりも多くの商品が売れ残ってしまったりすることがあります。

このような場合、廃棄してしまったらただフードロスになるだけです。

しかし、インターネットを活用すれば有効的に販売することができます。

まず紹介するのは廃棄される予定の食品や飲料を定価や一般的な相場よりも安く購入できるアプリやサービスです。

日本のスーパーではお惣菜を販売しています。

無事に売り切れれば良いのですが、売れ残りそうなものが発生したときはディスカウントして売り切ろうとします。

物が悪くなった訳では無いので、ディスカウントされた商品はすぐに消費者によって購入され、食卓で消費されます。

このような、スーパーで行われていたことがネットでどこでも行われるようになれば日本の食品廃棄は確実に減るはずです。

代表アプリ – 残ってしまいそうな食材やお惣菜を販売できる「TABETE」

株式会社コークッキングによって運営されている「TABETE(タベテ)」は2018年3月13日にテレビ東京の人気経済番組「ガイアの夜明け」で取り上げられるなど、注目されている日本のフードシェアリングサービスです。

仕組みとしては、

  • 飲食店が仕入れた食材

  • 総菜店が調理したお惣菜

など、安全に食べられる状態なのに廃棄されてしまいそうな食材・食品をユーザーがレストランやお店に行って購入できるサービスです[2]クレジットカード決済も可能です。

購入する側にとっても安全に食べられるものを安く購入できるという大きなメリットがあります。

正式なサービス開始は2018年4月29日と、まだ開始されてから1年くらいしか経っていません。

なので、おそらく今後登録されるお店の数が増えると思います。

TABETE(タベテ)

代表サービス – フードロス解消と社会貢献ができる「Otameshi(オタメシ)」

Otameshi(オタメシ)はフードロスの解消と社会貢献が同時にできるECサイトです。

サービスは株式会社SynaBiz(シナビズ)という会社によって運営されています。

SynaBizは東証マザーズに上場している株式会社オークファンの子会社です。

サービスの中身としては

  • 出荷するには賞味期限が迫っている(とはいえ今すぐ期限が切れる訳では無い)

  • 商品パッケージが古くて最新のものではない

  • パッケージや外装にキズなどがある

などの理由でスーパーなどの小売店で流通できないものを本来の料金よりもかなり格安で購入できるサイトです。

具体的には

  • サトウのごはん ななつぼし 200g×5食パックが定価821円のところ450円

  • 中華三昧 麻辣担々麺3食パックが定価が定価470円のところ259円

このように、定価と比較したかなり割安で販売されています。

とうぜんそれぞれの商品には、なぜ値下げされているかの記載があります。

Otameshiはただ廃棄予定の食品が安く購入できるだけのサービスではありません。

Otameshiの商品を購入すると、どの商品を購入しても必ず売り上げの一部が支援先団体に寄付されます。

商品購入時に複数ある支援団体の中からどの団体に寄付するかを自分で指定することができます。

特定の商品を購入すると金額がいくら寄付されるかも確認可能です。

整理すると、Otameshiを利用すれば

  1. 本来捨てられるものが消費者に届きフードロスが減る

  2. 消費者(買う人)はかなり安い値段で良いものを購入できる

  3. すべての商品で売上の一部が社会活動団体に寄付される

このような良い循環が期待できるのです。

食品や飲料以外にも

  • 美容品

  • 健康系サプリメント

  • 日用品

  • ペット用品

なども同じような仕組みで販売されているので、様々な人にメリットがあるサービスだと思います。

・Otameshi公式サイト

http://www.otame4.jp/

Otameshi(オタメシ)

代表アプリ – レストランの閉店時間前セールを注文できる「Too Good To Go」

「Too Good To Go(トゥー・グッド・トゥー・ゴー)」はデンマーク発のアプリで、ヨーロッパを中心に利用されています。

※2019年5月現在日本語版はリリースされていません

仕組みはシンプルで、個別のレストランで廃棄になりそうな食材(食べ残しではない)があったらアプリ内から告知し、それを見た利用者がテイクアウトの注文をする仕組みです。

公式instagramを見ると美味しそうな料理が格安で販売されていることがわかります。

エコ的な観点だけでなく、美味しいものが食べたいけど節約したい、という人にもおすすめです。

Too Good To Go公式サイト画面

Too Good To Go公式サイト画面

他の人気アプリ

Too Good To Go以外にも同じような仕組みのアプリは存在しており、

などのアプリが注目されています。

種類その2. 廃棄食品が発生した時にフードバンク等に連絡するアプリ

食事を提供する場所、例えばスーパーやレストラン、さらには食事を家族に作る家庭では用意する食材を完璧に使い切ることは難しいです。

細かく食事を管理しても提供する相手の体調によっては食べきれないので、どうしても食品ロスが発生します。

家庭ならある程度コントロールできますが、事業として行うレストラン等では様々な要因(お客さんの体調・天候・流行り等)によってその日の必要量が変化しますので、食品ロスが発生するのはどうしようもありません。

廃棄予定の食品が発生したら即時に最適なフードバンク等に連絡できる仕組みがあれば迅速に廃棄予定食材を団体等に渡すことができ、渡し先で有効活用できます。

代表アプリ「MealConnect(ミールコネクト)」

「MealConnect(ミールコネクト)」はアメリカの飢餓撲滅のために運営されているアプリです。

アメリカは日本以上に貧富の差が激しく、食料が十分に行き渡っていません。

MealConnectは食品を扱う事業者なら誰でも登録でき、食料をアプリに登録すればアプリが独自アルゴリズムによって最適の渡し先とマッチングしてくれます。

自分で寄付先を探したりする必要が無いので、このような仕組みであれば誰でも気軽に廃棄予定食品の提供が可能になります。

・MealConnect(ミールコネクト)公式サイト

https://mealconnect.org/

MealConnect(ミールコネクト)公式サイト

MealConnect(ミールコネクト)公式サイト

種類その3. 作ったご飯のおすそ分けしてくれる相手とされたい相手を探せるアプリ

一人暮らしの家や家庭で料理をする時、スーパー等で販売されている食材では量が多すぎる、ということがあります。

余った食材も調理可能なら良いのですが、賞味期限等が短い食品はもったいないと思いつつも廃棄することになります。

他にも

  • 料理を多めに作りすぎたとき

  • 少人数向けでない料理を作ったとき

などのパターンで料理が余ってしまうことがあります。

そんな時に便利なのが「おすそ分け」相手を探せるミールシェアリングアプリです。

料理を作って余ってしまった時に写真を登録しておすそ分け相手を探すだけなので急になにかのトラブルで料理が余った時でも処分せずに済みます。

捨てないで済むだけでなくアプリによっては販売可能ですので(日本では法律によって個人ではほぼ不可)、無駄にしないだけでなくお金も得ることができて一石二鳥です。

食材おすそ分けアプリの「OLIO(オリオ)」

OLIO(オリオ)は海外の無料アプリですが、余った食品を個人間で販売することができます。

もちろん個人間だけでなく店舗等の法人も利用可能です。

・OLIO(オリオ)

https://olioex.com/

OLIO(オリオ)トップ画面

OLIO(オリオ)トップ画面

「その他」に該当するフードシェアリングアプリ

ここからはここまで紹介した

  • 廃棄食品が発生した時にフードバンク等に連絡するアプリ

  • レストラン・スーパー等のディスカウント(割引セール)を通知してくれるアプリ

  • 作ったご飯のおすそ分けしてくれる相手とされたい相手を探せるアプリ

のどれにも該当しないフードシェアリングアプリを紹介します。

tabeloop(タベループ)

tabeloop(タベループ)は生産者や食品メーカーなどが、自分たちが生産した食品のなかで

  • 形がいびつで販売できない

  • 賞味期限が近くてスーパー等におろせない

  • 傷があるので一般の市場に流通させられない

などに該当する食品を、

  • 一般消費者

  • 外食チェーン・レストラン

  • その他団体

などに販売できるサービスです。

・tabeloop(タベループ)公式サイト

https://tabeloop.me/teaser/

tabeloop(タベループ)ティザーサイト

Reduce GO(リデュースゴー)

Reduce GO(リデュースゴー)はサブスクリプションモデルのフードシェアリングアプリです。

会員は毎月1,980円の料金を支払うことにより、1日に最大2回まで最寄りの登録レストラン等に行き余った食材などを受け取ることができます。

店舗側からみても

  • 食品廃棄にかかる費用が削減できる

  • 会員に渡す手配はスマホで簡単

  • 会員の月額料金の59%が均等に還元されるので収益が増える

などのメリットがあります。

なお、会員が支払う月額料金のうち2%は社会活動に寄付されます。

・Reduce GO(リデュースゴー)

https://reducego.jp/

フードロスを解決するフードテックに期待

日本では消費者の安全を守るためとはいえ食品に関しては様々な規制がかかっています。

規制は安全のために大事なことですが、今は少子高齢化が進み日本の経済成長の見込みもゆるやかです。

世界規模でみると人口は増加し続けていますし、土地をふくめた資源には限りがあります。

そんな中いつまでもフードロスを続けていくのは経済的にも倫理的にも合理的とは思えません。

フードロスなど食にまつわる問題をテクノロジーで解決する企業は「フードテック企業」と呼ばれます。

このような企業の活躍に期待したいです。

脚注・引用

脚注・引用
1 https://mainichi.jp/articles/20190403/ddm/013/070/002000c
2 クレジットカード決済も可能です。